犬が好き
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あのころと、それからのこと【穴澤賢の犬のはなし】
Vol.33 あのころと、それからのこと
集英社刊/2013年12月13日発売
ブログ「富士丸な日々」で日本一有名になった犬、富士丸。最愛の“相棒”の急死を、飼い主である著者はどう受け止めようとしたのか。深い心の傷や壮絶な悲しみからの再生の物語。(解説/東えりか)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4087451453
http://books.rakuten.co.jp/rb/12570420/
突然死だったこともあり、現実を受け止めることができず、ひたすら憔悴しきっていた時期から、なんとか立ち上がろうともがいたころの話です。文庫化するにあたり、改めて読み返してみましたが、けして明るい話ではありません。
それは当時からわかっていたので「みなさん、ぜひ読んでみてくださいね!」とはなかなか言いづらく、富士丸のファンだったという人からも「あの本だけは恐くて読めません」とよく言われました。それでも読んでくださった皆さん、どうもありがとうございました。
この本を出したあと、たくさんの読書カードが届きました。その中には、自分もペットロスで苦しかったけど、これを読んで気持ちが少し気が楽になったと丁寧に御礼を述べてくれる人もいました。そんな反応が返ってくるとはまったく予想していなかったので、すごく驚いたのを覚えています。
この本は「どうやったらペットロスから立ち直れるか」ではなく、ひたすら自分の身に起こったことと心境を綴ったものです。書いていた当時は自分のことで精一杯で、とても人に何かアドバイスする余裕はなかったんです。だから御礼を言われても「いやいや、こちらこそ。なんだかすいません」という気持ちでした。
でも、ほんの少しでも気が楽になったといってくれる人がいるのなら、この本を書いてよかったのかなと、あとになってから思ったものです。そういうお便りは、出版から3年経った今もときどき届きます。
この連載でもちょくちょく触れていますが、あれから4年経った今は、ずいぶん違った温度になっています。この度、文庫化するにあたって、通常の「あとがき」ではなく、この4年の心境の変化と大吉を迎えたことについて、「エピローグ」のようなものを追加で書き下ろしました。10ページほどですが、これでこの本がやっと本当の意味で完結したような気がします(単行本もちゃんと完結しているけれど)。
内容が内容だけに、相変わらず「ぜひ読んでね!」と明るく言える本ではありませんが、興味のある人は(恐くて読めなかった人も)文庫になるのをきっかけに手にとってくれると嬉しいです。少なくとも救いのない話ではないので、これを読んだからといってたぶん暗い気持ちになることはないと思いますので。2013年12月13日に発売されます。どうぞよろしくお願いします。
穴澤賢さん直筆サイン入り『またね、富士丸。(文庫版)』 プレゼント!
申し込み締め切り:2013年12月16日(月)
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