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気がつけばもうそんな年齢【穴澤賢の犬のはなし】

先代犬の「富士丸」と犬との暮らしと別れを経験したライターの穴澤賢が、
数年を経て現在は「大吉」と「福助」(どちらもミックス)との暮らしで
感じた何気ないことを語ります。

これまで何度も書いているが、わが家ではあえて定期的に動物病院に行くようにしている。2カ月に1度くらいの頻度で、ノミ・ダニ・フィラリア予防薬をもらいに行くついでに触診してもらい、異常がないか確認するためだ。最低でも年に1度は、「血液生化学検査」や「CBC検査」も受けている。

福助の全力拒否劇場

注射は検査のときの採血か狂犬病予防のときしかしないし、触診だって上田先生は「大丈夫だよぉ」と優しく語りかけながらしてくれるのに、福助は未だに怖くて怖くて仕方ないようだ。痛いことも、嫌がることもされないのは分かっているのに、どうしてそこは学習しないのか。
病院に入るのも、診察室に入るのも、診察台に乗せられるのも全力で拒否る。だいたいいつもまず大吉、次に福助の順だが、大吉が触診されているときも、「クゥ〜ンクゥ〜ン」と何とも情けない声で泣く。いくら全力で拒否されても、強引に持ち上げて診察台に乗せると、常に逃げようとする。そうなることは分かっているから、動きを封じる。という「寸劇」が毎回繰り広げられる。

まだまだ元気でいるように

よく考えれば、福助はもう8才だ。人間の年齢で換算する必要もないくらい「大人」のはずである。なのに、動物病院ではまるで駄々っこのように振る舞う。獣医師のことも、大っ嫌いらしい。さすがに噛もうとしたり、攻撃的になることはないが、心底嫌なのだろうというのはよく分かる。大人しく、何の抵抗もせず診察される大吉とはえらい違いだ(そのときの動画はインスタにもちょくちょくあげているので、どれくらい情けないかご覧ください)。
花火や雷は平気で、シャンプーもドライヤーも抵抗しなくなり、爪切りされているときにウトウトするくらいにまでなった福助だが、動物病院だけはどうしてもだめなようだ。逆に大吉は動物病院は平気なのに、花火や雷には未だに怯えまくる。そういう個性が面白いものだと思う。
そして、11才の大吉はもうとっくに超えているが、8才になった福助も、富士丸を超えたことになる。7才半で突然いなくなった富士丸と一緒にいた時間を、もう超えたのか。その割にはまだガキンチョで「ばかだなぁ」と笑うこともあるが、あの頃とはまた違った時間を福助と過ごしているんだなぁと思う。
ちなみに検査の結果は、大吉はクレアチニンとMCHCが基準範囲より若干高めだったが、この程度であれば問題ない範囲、福助にいたっては上田先生も「素晴らしい」というほどパーフェクトだった。ガキンチョでもいいから、まだまだ元気でいるように。



プロフィール
穴澤 賢(あなざわ まさる)
1971年大阪生まれ。2005年、愛犬との日常をつづったブログ「富士丸な日々」が話題となり、その後エッセイやコラムを執筆するようになる。著書に『ひとりと一匹』(小学館文庫)、自ら選曲したコンピレーションアルバムとエッセイをまとめたCDブック『Another Side Of Music』(ワーナーミュージック・ジャパン)、愛犬の死から一年後の心境を語った『またね、富士丸。』(世界文化社)、本連載をまとめた『また、犬と暮らして』(世界文化社)などがある。2015年、長年犬と暮らした経験から「DeLoreans」というブランドを立ち上げる。

ブログ「Another Days」
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インスタグラム

大吉(2011年8月17日生まれ・オス)
茨城県で放し飼いの白い犬(父)とある家庭の茶色い犬(母)の間に生まれる。飼い主募集サイトを経て穴澤家へ。敬語を話す小学生のように妙に大人びた性格。雷と花火と暴走族が苦手。せっかく海の近くに引っ越したのに、海も砂浜もそんなに好きではないもよう。

福助(2014年1月11日生まれ・オス)
千葉県の施設から保護団体を経て穴澤家へ。捕獲されたときのトラウマから当初は人間を怖がり逃げまどっていたが、約2カ月ほどでただの破壊王へ。ついでにデブになる。運動神経はかなりいいので、家では「動けるデブ」と呼ばれている。
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