近年、数多くの調査や研究によって、犬の知能について少しずつ解明されているのをご存知でしょうか。今回は、他の動物と比べて犬がどれくらい賢いのか、そして犬のなかでもどの犬種が一番賢いのかなど、犬の知能に関するさまざまなデータをご紹介します。
「脳化指数」で見ると犬は賢い?それとも…
「脳化指数」とは体重に占める脳の比率で、動物の知能を測る一つの指標としても知られています。アメリカの心理学者ハリー・ジェイソン氏の研究のデータによると、犬の脳化指数は以下のようになります。
脳化指数
・人(7.4~7.8)
・チンパンジー(2.2~2.5)
・クジラ(1.8)
・ゴリラ(1.5~1.8)
・アフリカゾウ(1.3)
・カラス(1.25)
・犬(1.2)
・猫(1.0)
脳化指数だけで犬の知能を測るのは難しい
このデータで、犬よりも脳化指数が高いと算出された動物としてカラスがいます。カラスは自分で道具を作って使ったり、数多くのエサ場の位置を記憶したりするなど、他の鳥類とは比較にならないほど賢い動物なんだそう。
なお、大型犬と小型犬で比較すると、小型犬の方が脳化指数が高いのだそう。しかし犬の場合は、体の大きさや性別と知能の高さは関係ないといわれています。
「前頭前野皮質」の割合で見ると犬は“理性的”?
「前頭前野皮質」とは、理性をつかさどる場所のことです。つまり、その割合が多ければ多いほど“理性的”な動物であると言えます。ドイツの学者コルビニアン・ブロードマン氏は、前頭前野皮質の割合について研究し、以下のようなデータを発表しています。
前頭前野皮質の割合
・人(29%)
・チンパンジー(17%)
・テナガザル(11.5%)
・キツネザル(8.5%)
・犬(7%)
・猫(3.5%)
コミュニケーション力に優れている!
このデータによると、犬は前頭前野皮質の割合が猫よりも大幅に多いことが判明しました。これは犬は集団で生活するため、単独行動の猫よりもコミュニケーション能力が発達しやすいことが関係しているのだと考えられています。
「脳化指数」と「前頭前野皮質」という2つの観点から判断すると、犬の知能の高さは『カラス以下猫以上』という結果になりました。しかし、これはあくまでも指標ですので、参考程度にとどめておいてくださいね。
犬のなかで一番賢いのは?賢い犬種TOP5はこちら!
最後に、カナダの心理学者スタンレー・コレン氏が発表した「犬種別知能ランキング」をご紹介します。これは、犬種別に「本能的知能」「適応的知能」「使役と服従」という観点から調査し、作成されたものです。
犬種別知能ランキングTOP5
1位 ボーダー・コリー
2位 プードル
3位 ジャーマン・シェパード・ドッグ
4位 ゴールデン・レトリーバー
5位 ドーベルマン
鵜呑みにするのはNG!
このテストでは作業犬が上位を占め、愛玩犬はランク外という結果になりました。これは、犬が作業に適するように交配をされているため。愛犬がランキングに入っていなくてもがっかりすることはありませんよ。
犬の知能に関するデータは他にもたくさん!
これまでご紹介した研究データ以外にも、犬の知能の高さを知る手がかりとなるものは数多くあります。今回のデータだけでなく、さまざまな結果を相対的に評価しながら、犬の知能レベルを理解していきたいですね。
参考/「いぬのきもち」2018年4月号『あなたの愛犬はどのくらい賢い?犬の知能に迫る』(監修:「Can!Do!Pet Dog School」代表 西川文二先生、京都大学大学院文学研究科教授 藤田和生先生)
文/hasebe
※写真はスマホアプリ「まいにちのいぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。