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犬がいる生活の災難(その2)「穴澤賢の犬のはなし」

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犬がいる生活の災難(その2)

前回からのつづき
階段から落ちて玄関にあお向けで横たわる私を見て、嫁は救急車を呼ぶために電話をかける。とにかく冷静に住所や状況を伝えた。
電話を切って待つ間も、私の後頭部の周辺は黒っぽい血が広がっていく。友人たちも、この状況に動揺しまくる。ついさっきまでの和やかな雰囲気が一変していた。

電話から10分後、救急車が自宅前に到着。救急隊員によって私は玄関から運び出され、救急車へ担ぎ込まれる。友人たちを自宅に残し、嫁が救急車へ乗り込んで状況を説明するが、私はまったく動かない。手を握っていいかと救急隊員に尋ねると「握って声をかけてあげて」と言われるが、まったく反応はない。

ほどなく、神奈川県・大船にある大きな総合病院に到着すると、すぐに処置室へ運ばれる。嫁は待機するよう言われるが、時間だけが過ぎていく。深夜2時半ころ、脳外科医が自宅から病院に駆けつける。同じころ、深夜にも関わらず、嫁から連絡を受けた私の友人たちが病院に集まり始める。

到着した医師は、私が病院に担ぎ込まれた0時すぎと、午前3時ころのCTの画像を見比べたという。0時すぎのCTで「頭蓋骨骨折」と「脳挫傷」、「外傷性くも膜下出血」が見られており、さらに3時のCTでは小脳に「急性硬膜外血腫」と「急性硬膜下血腫」が確認された。嫁と友人がそうした説明を受ける。

この時点で、かなり危ない状況であると告げられる。このとき同席していた友人は美容整形外科医だが、過去には医療関係の研修医だった時代もあるため、医師の説明を理解しており、最悪死に至る可能性もあると思うと、ただただ涙がこぼれ落ちたという。

その後、朝7時のCTを見て、緊急手術をするかどうかの判断を下すということになる。そこで私は集中治療室へ運ばれた。集中治療室とは、患者ひとりにつき看護師が在中していて、つねに様態をチェックしている特別な部屋だそうだ。その間も、私の意識はまったくなく、ときおりうめき声を出す程度だった。

このような状態で手術をするのは、かなりのリスクがあるらしい。なぜなら手術をしても助かる可能性が60%前後と低く、重い後遺症が残る可能性もあるからだという。とはいえ手術しないのも危険で、判断はかなり難しい様態だった。とくに小脳に見られる出血が朝7時の時点で広がっていたら、もう助かる見込みはない、つまり手術をする選択肢はなくなるということらしかった。

そして朝7時。再びCTを撮ると、小脳の出血は重症化していなかった。そこで医師がリスクを承知で緊急手術を決断。嫁や友人たちにそのことが伝えられる、手術しても助からない可能性があることも含めて。そして私は手術室へと運ばれていった。廊下で待つことになった嫁は「さっきまで、夢に向かって頑張る話をしていたのに……」と信じられない気持ちだったらしい。

これらの話は、すべて嫁や友人から後から聞いたことであり、本人である私は何も覚えていない。そして、手術は午前9時からはじまった。その手術は、4時間に渡った。
(つづく)

※医療に関して正確な表現でない場合があります

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