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久しぶりの山で大福と「穴澤賢の犬のはなし」

久しぶりの山で大福と

退院して体力が戻ってきた頃、長野県の八ヶ岳に行った。大福の喜ぶ顔が見たかったし、山の家を放置するわけにも行かないから。なんだかんだいって、自分が行きたかったのかもしれない。しかし今回のけがで、実はできなくなったことがある。車の運転だ。
後遺症もなく能力的には問題ない、と思う。が、脳の手術をした場合、運転中に意識を失う危険があるから2年は車の運転は控えるようにと医師に言われたのだ。入院中も退院後も、そんなことは一度もないが、事故でも起こして人を巻き込んだりするのは絶対嫌なので、運転は自粛している。
それがまぁ不便なこと。日々の買い物から何から頻繁に車に乗っていたのに、徒歩圏内か電車になってしまった。自分のせいなのでそこは耐えるしかない、2年間。問題は、山の家はどうするかだが、幸い嫁が免許を持っていたのでお願いすることにした。ただし、日常的に運転していたわけではないので、神奈川県の鎌倉から長野県の八ヶ岳の運転は大変だと思う。
そこは私が助手席から注意することにして、なんとか山の家には行けるようになった。すると大福の嬉しそうなこと。キラキラと目を輝かせている。やっぱり山の空気が好きなんだな。そんな顔が見たくて、去年ちょっと無理して手に入れたので、また行けるようになって本当によかった。
しかし、何カ月ぶりとなる山の家はテラスが落ち葉だらけになっていたり、せっかく作ったドッグランには雑草が生い茂ったりしていた。仕方ない。まずは掃除をして、ついでにオイルステンを塗ったり、ドッグランの雑草を刈ったり、やることが山積み。
その前に大福を遊ばせたり、彼らが昼寝している間に作業をしたり、山の家はテレビのアンテナもないし特にやることもないはずなのに、結構忙しい。けれど、きれいになったドッグランで土まみれになりながら遊んでいる姿を見たり、疲れて眠っている姿を見ていると、こっちまで嬉しくなる。
毎週行けるわけでもないし、週末しかないのでまだまだやることは残っているが、やつらのために頑張るとしようかな。



プロフィール
穴澤 賢(あなざわ まさる)
1971年大阪生まれ。株式会社デロリアンズ代表。2005年、愛犬との日常をつづったブログ「富士丸な日々」が話題となり、その後エッセイやコラムを執筆するようになる。著書に『ひとりと一匹』(小学館文庫)、自ら選曲したコンピレーションアルバムとエッセイをまとめたCDブック『Another Side Of Music』(ワーナーミュージック・ジャパン)、愛犬の死から一年後の心境を語った『またね、富士丸。』(世界文化社)、本連載をまとめた『また、犬と暮らして』(世界文化社)などがある。
ブログ「Another Days」


大吉(2011年8月17日生まれ・オス)
茨城県で放し飼いの白い犬(父)とある家庭の茶色い犬(母)の間に生まれる。飼い主募集サイトを経て穴澤家へ。敬語を話す小学生のように妙に大人びた性格。雪と花火と暴走族が苦手。せっかく海の近くに引っ越したのに、海も砂浜もそんなに好きではないもよう。

福助(2014年1月11日生まれ・オス)
千葉県の施設から保護団体を経て穴澤家へ。捕獲されたときのトラウマから当初は人間を怖がり逃げまどっていたが、約2カ月ほどでただの破壊王へ。ついでにデブになる。運動神経はかなりいいので、家では「動けるデブ」と呼ばれている。
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