ここでは、犬と、犬を取り巻く社会がもっと幸せで素敵なものになるように活動している方々をレポートします。
今回は、2009年に犬の保護活動を開始して以来、1500頭の犬たちの命を救い譲渡を行ってきた小野早希惠さんの活動について紹介します。
行き場のない犬をなくすためには「人」に働きかけなければ何も変わらないのです
今までに数多くの保護犬たちを幸せな家庭へと送り出した保護活動家の小野早希惠さんですが、その飼い主さんのひとりが、本誌同連載のカメラマン田尻光久さんです。田尻さんは、2018年に沖縄県で保護されたなつちゃんを迎えました。
「小野さんがなつの飼い主さん募集をフェイスブックに上げているのを知人がたまたまシェアしていたんです。垂れ耳で琉球犬特有の美しい被毛の、なつをひと目見て気に入り、すぐに連絡しました」と田尻さん。
なつちゃんを迎えたあとは、空港に到着した保護犬の搬送ボランティアも始めました。「なつが来た当初は、人のことも外に出ることもとても怖がり、ずっとクレートの中で固まったままでした。慣れるまでに2カ月はかかりましたが、その間小野さんからは何度もアドバイスをもらえたのがよかったです」とのこと。今ではなつちゃんは、アウトドア志向の田尻さんと、田尻家の動物たちとともに海や山で遊ぶことが大好きになったそう。
こうして、多くの犬と人を幸せな縁でつないできた小野さん。最後に、「行き場のない動物たちをつくり出しているのは私たちの社会です。今後は愛護活動などに興味がない人にも、より積極的に働きかけをして『命の尊さ』を理解してもらえたら」と語ってくれました。
出典/「いぬのきもち」2024年2月号『犬のために何ができるのだろうか』
写真/田尻光久
写真提供/小野早希惠さん
取材・文/袴 もな
※掲載の情報は「いぬのきもち」2024年2月号発売時のものです。