犬は室内のさまざまな場所で眠るため、ときには「なぜそこで眠るの?」と思うこともありますよね。犬はちゃんと理由があって寝る場所を決めているので、寝場所から犬の気持ちを推測することが可能です。
そこで今回は、寝る場所でわかる犬の本音について、哺乳類学者の今泉忠明先生にお話を伺いました。
愛犬の寝る場所には家族への愛があらわれる?
犬は「家族全員を見渡せる場所」を好んで寝場所に選ぶ傾向があります。部屋の隅や狭い場所で眠っていたとしても、そこが大好きな家族の存在を感じて安心できる場所なのです。
野生時代の犬は、小さな物音にもすぐに反応できるほど眠りが浅かったといわれています。その本能は今でも残っており、家族の気配を感じて声などにすぐ反応するために受け継がれているのです。
窓際で寝る犬の気持ち
窓際で眠る犬は、飼い主さんの帰宅を待つうちに寝てしまった、外に気になるものがあったものの危険がないとわかり安心して眠った、といったことが考えられます。
また「散歩に行きたい」と思っている犬も、選びやすい場所です。
イスの上で寝る犬の気持ち
飼い主さんがいつも座っているイスは、愛犬からすると「あそこはきっといい場所だ」と思うもの。いざイスを拝借すると飼い主さんのニオイがついているので、安心して眠ることができるのでしょう。イスのひじ掛けの高さもちょうどよくことのほかリラックスできるのでしょう。
また、ソファの背もたれにのって眠る犬もいます。こちらも飼い主さんのニオイがついている場所なので、リラックスできるのかも。また、背もたれに被さって四肢をぶらりと伸ばすのは、背骨がフィットして犬にとって心地のいい体勢のようです。
家族がよく通る場所で寝る犬の気持ち
リビングの真ん中、階段の途中、トイレの前など、家族が頻繁に通る場所で眠る犬もいます。これは、常に飼い主さんの気配を感じられたり、通るときに声をかけてもらえたりするのがうれしいのでしょう。
飼い主さんの近くで寝る犬の気持ち
飼い主さんの近くで寝る犬も少なくありません。飼い主さんにくっつくことで子犬気分を味わえたり、飼い主さんの鼓動や温かさが心地よく、母犬のおなかの中にいたころのような気持ちで眠れたりするのでしょう。
また、飼い主さんのベッドで一緒に寝る犬も多いですよね。ベッドのどの位置で眠るかで、愛犬の気持ちをある程度推測することができます。
枕元
犬のほうが飼い主さんを子どもだと思っている場合、枕元で寝ることが多いようです。飼い主さんの面倒を見てあげなければ、と思っているのかもしません。
足元
飼い主さんと対等な関係に近い犬が選びやすい場所です。背中や足先などを飼い主さんにくっつけていることが多く、何かあったら助けようと思ってくれています。
ベッドの下
飼い主さんに従順な犬や、ベッドにのらないようトレーニングされている犬が選びがちです。ベッドにはのらないものの、できるだけ飼い主さんに近い場所で眠りたいのでしょう。「好きな気持ちをわかってほしい」距離といえます。
寝る場所には愛犬の心理を探るヒントがたくさんあります。どんな気持ちなのか想像しながら、愛犬のおやすみタイムを見守ってくださいね。
お話を伺った先生/今泉忠明先生(哺乳類学者 日本動物科学研究所所長)
参考/「いぬのきもち」2020年3月号『愛犬の心理を読み解こう! “寝る場所”でわかる犬のキモチ』
文/東里奈
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性がない場合もあります。