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全国の保護団体も支援し、地域住民との交流にも積極的な「犬猫生活福祉財団」が目指す動物福祉とは

ここでは、犬と、犬を取り巻く社会がもっと幸せで素敵なものになるように活動している方々をレポートします。

今回は、殺処分ゼロと動物福祉の向上を目指し、犬たちが快適に過ごせるシェルターを群馬県前橋市に設立した犬猫生活福祉財団。その活動について紹介します。

1回目の記事|犬の幸せを考え、動物福祉を広めることを目指す「犬猫生活福祉財団」の取り組みを聞いた

全国の保護団体を支援することで動物福祉に根差した活動を広げていきたい

「収容ゼロ・殺処分ゼロ・不適切飼育環境ゼロ」という3つのゼロを掲げて2021年9月に設立された「犬猫生活福祉財団」。財団の本部がある東京からあまり遠くなく、民間のシェルターが少ない地域という理由から、群馬県前橋市にシェルターを開設しました。
撮影/田尻光久
撮影/田尻光久
前橋市との協力体制を築いたことで、市の担当者がシェルターと近隣住民をつなぐ橋渡し役の方を紹介してくれ、おかげで地域に早く溶けこむことができたそう。財団が定期的に開催するオープンシェルターのイベントには、毎回多くの地元の方々が参加しています。
「オープンシェルターのイベントには、譲渡を目的としない方々にも気軽に来ていただき、保護犬とふれあい、シェルターの様子を見ていただくことで、動物福祉について考えてもらえればと思っています」(財団事務局長・福田敬土さん)
「オープンシェルター」のイベントには、譲渡希望者以外も参加可能。保護犬とのふれあいも楽しめます
「オープンシェルター」のイベントには、譲渡希望者以外も参加可能。保護犬とのふれあいも楽しめます
財団のアドバイザーを務める獣医師の高橋葵先生による動物福祉セミナーも前橋市で開催
財団のアドバイザーを務める獣医師の高橋葵先生による動物福祉セミナーも前橋市で開催

レスキューされた犬たちが心の傷を癒せるような居心地のよいシェルターを実現

さて、実際に犬猫タウン前橋を訪れてみると、シェルターには4頭の保護犬たちが暮らしていました。犬たちのうち3頭はシニア犬で、群馬県内3カ所の愛護センターから来ました。財団では、譲渡が難しく愛護センターに長い期間収容されているシニア犬や疾患のある犬を優先して迎え、必要なケアを丁寧に行います。犬たちはそれぞれ広い個室で過ごし、一日に何度もドッグランで遊ぶことができます。
冷暖房完備の犬舎は個室で、2021年に施行された改正動物愛護管理法を順守した広さに
冷暖房完備の犬舎は個室で、2021年に施行された改正動物愛護管理法を順守した広さに
シェルター内にある晴れの日用のドッグラン。日よけのシートが張られているので夏の日中でも遊ぶことができます。ビビリな犬が隠れられる場所や、簡単なアジリティの設備も配置
シェルター内にある晴れの日用のドッグラン。日よけのシートが張られているので夏の日中でも遊ぶことができます。ビビリな犬が隠れられる場所や、簡単なアジリティの設備も配置
雨の日用のドッグラン。屋根がついているので濡れずに外に出ることができます
雨の日用のドッグラン。屋根がついているので濡れずに外に出ることができます
「ドッグランは晴れと雨の日用に分けて2カ所つくりましたそして、保護動物専用クリニックほか、感染症予防のための隔離室なども完備しているので、シニアや疾患のある犬も受け入れ可能なんです」と福田さんは各施設を案内。そしてスタッフは有給のスタッフとボランティアスタッフが業務を分担。獣医師も常勤し、専属のドッグトレーナーが定期的に犬のトレーニングを行います。

そんななかでも、犬たちから絶大な信頼を得ている庄司茂さん。動物福祉に興味をもち財団に参加しました。「犬たちのお世話で気をつけているのは、犬同士の相性を早くに見きわめて、同じ空間で鉢合わせにさせないことですね。また、ビビリな犬には無理強いはしないで、少しずつ人間になれてもらうようにします」と話してくれました。
財団の専属獣医師、石川夕起子先生は緊急時の犬の診療や猫の避妊・去勢手術を毎日こなします。レオくんの健康チェックをしたところ「ちょっとダイエットが必要ね~!」とスタッフの庄司さんにアドバイス
財団の専属獣医師、石川夕起子先生は緊急時の犬の診療や猫の避妊・去勢手術を毎日こなします。レオくんの健康チェックをしたところ「ちょっとダイエットが必要ね~!」とスタッフの庄司さんにアドバイス
子犬時代に施設に来た元野犬の小鉄くん(2才)。超ビビリですがスタッフの庄司さんには心を開きます
子犬時代に施設に来た元野犬の小鉄くん(2才)。超ビビリですがスタッフの庄司さんには心を開きます

より多くの犬の命を救うため全国の保護団体も支援

ところで、犬猫タウン前橋は、まるで行政が建てた施設のように設備が整っていますが、その資金やスタッフの賃金をどう捻出されているのか伺うと……。
「当財団の代表の佐藤(淳さん)は、ペット関連商品の企画・製造・販売を行う会社を運営し、その利益の20%を非営利団体である財団に寄付しています。その他、資金は財団の活動に賛同してくれる企業や一般からの寄付などでまかなっています」と福田さんは説明。

そして、財団ではシェルター運営のほかに、民間の保護団体への資金援助や人材探しのサポートを行っているのも特徴です。
「全国には素晴らしい活動をしている保護団体が多数ありますが、どこも資金不足と人手不足が問題なんです。多くの保護犬を抱えた動物愛護団体が資金難によってつぶれてしまったら、再びその犬たちの行き場はなくなってしまいます。財団では、みんなが持続可能な保護活動と福祉活動を行っていけるように、横のつながりを広げ、毎年約10団体を対象に資金援助を行うようにしています」。
地域住民参加型のイベントでは、地元のお店とコラボしたチャリティグッズの販売も
地域住民参加型のイベントでは、地元のお店とコラボしたチャリティグッズの販売も
人材サポートにおいては、『犬猫ワークス』というサイトを立ち上げ、団体とボランティア希望者がマッチングできる仕組みをつくりました。「登録を希望される団体はあらかじめ審査をしてトラブルがないように努めています。現在は約35団体の登録があり、利用者は約120名になりました」と福田さん。
財団によるボランティア求人サイト「犬猫ワークス」では、エリア、有償・無償、スキルの種類などから団体を選ぶことが可能
財団によるボランティア求人サイト「犬猫ワークス」では、エリア、有償・無償、スキルの種類などから団体を選ぶことが可能
人気イラストレーターのじゅんさんによる財団のステッカー。寄付のお礼として配られます
人気イラストレーターのじゅんさんによる財団のステッカー。寄付のお礼として配られます
次回は財団の新たなプロジェクトと、財団から犬を迎えたご家族をレポートします。
出典/「いぬのきもち」2024年12月号『犬のために何ができるのだろうか』
写真/田尻光久
写真提供/犬猫生活福祉財団
取材・文/袴 もな
※保護犬の情報は2024年10月4日現在のものです。
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