ここでは、犬と、犬を取り巻く社会がもっと幸せで素敵なものになるように活動している方々をレポートします。
今回は、殺処分ゼロと動物福祉の向上を目指し、犬たちが快適に過ごせるシェルターを群馬県前橋市に設立した犬猫生活福祉財団。その活動について紹介します。
新たなプロジェクトとして“終生預かりボランティア”を開始
犬猫生活福祉財団は「収容ゼロ・殺処分ゼロ・不適切飼育環境ゼロ」という3つのゼロを掲げて2021年9月に設立されました。
現在までにシェルターを卒業して幸せになった犬たちは11頭とのこと。「猫の譲渡数は132頭と多いのですが、犬の場合はスペースの関係上5〜6頭の収容が限界になります。そのため、2024年10月から『終生預かりボランティア』制度を始めました」と事務局長の福田敬土さんは新しい計画についても説明。一般家庭への譲渡が難しいシニア犬や疾患のある犬を、登録ボランティアが各家庭で生涯預かりをして、フードや医療費等は財団がサポートするシステムだそう。「これにより、今よりも多くの犬を愛護センターから引き取ることができるんです」と福田さん。
新たに開始された「終生預かりボランティア」では、財団スタッフが犬のトレーニングやお世話の仕方を丁寧にサポートしてくれます
財団を巣立ち、幸せになった保護犬たち
最後に、財団から犬を迎えた2組の家族を紹介。群馬県にお住まいのIさんは、財団のホームページで野犬出身の大和くんを見つけ、昨年7月に迎えました。大和くんは穏やかな性格ですがとてもビビリで、とくに外での散歩が苦手。「初回は財団のスタッフが散歩に同行してくれて、歩くときの注意点など丁寧に教えてくれたので助かりました。散歩にもう少し慣れてきたらいっしょに山小屋に行くのが夢です(笑)」と話してくれました。
Iさん家の大和くんは、前回の記事で紹介した小鉄くんの兄弟犬。たまにシェルターに会いに行くそう
同じく群馬県のM.I.さんと暮らすウルくんは、昨年9月に財団から来ました。「それまで小型犬と暮らしていて、中型ミックス犬と暮らすのは初めてで少し不安もありました。でも、財団のスタッフがあらかじめ家の間取りなどを見に来てくれて、準備するべきものなどアドバイスしてくれたのでよかったです! ウルは今ではかけがえのない家族の一員です」と話してくれました。
M.I.さん家のウルくんは、散歩が大好き。1日に3回家族が交代で散歩に連れていってくれます
福田さんは、「どんなに環境が整ったシェルターにいたとしても、保護犬たちは家族とともに家庭で過ごすことが一番の幸せなんです。譲渡先で生涯幸せになるように、財団スタッフは脱走防止対策などできる限りのサポートを行っています。最初に述べた『3つのゼロ』を達成できるよう、今後もがんばっていきます」と語ってくれました。
出典/「いぬのきもち」2024年12月号『犬のために何ができるのだろうか』
写真/田尻光久
写真提供/犬猫生活福祉財団
取材・文/袴 もな
※保護犬の情報は2024年10月4日現在のものです。