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「じゃれ合ったり譲り合ったりケンカしたり」犬の多頭飼いエピソード紹介!専門家解説も

多頭飼いをしていると、犬同士の意外な関係性や役割分担が見えてくることも。そこで、「いぬのきもち」読者の皆さんから集まった多頭飼いエピソードをご紹介。そこに隠れた“犬の本能や習性”を動物行動学者の増田宏司先生が解説します。

「母犬が娘犬のおやつを奪い去ってしまいます……」(埼玉県 N.S.さん)

「親子、姉妹の4頭が暮らすわが家。オリーブは、自分の子ども犬のおやつやおもちゃが気になるもよう。最初は『いいなぁそれ欲しいなぁ』と圧をかけてから、徐々に近づいてペロペロ。子どもの気がそれた隙に奪い取って、自分のものにしてしまいます」
左が母犬のオリーブちゃん(メス・8才/ヨークシャー・テリア)
左が母犬のオリーブちゃん(メス・8才/ヨークシャー・テリア)

【増田先生の解説】ほかの犬の所有物が魅力的に映ることは犬にもあります

最初は単に「うらやましい」という感情だったのが、繰り返すうちに「いつもこうする」といった行動パターンとして定着していったのでしょう。とくに親子のような関係性では遠慮が少ないぶん、こうしたやりとりが起こりやすいかも。

同じ犬種同士、仲良くなるかと思いきや……(静岡県 R.Y.さん)

「ずっと〝ひとりっ子〞で飼い主の愛情をひとり占めして育ったシェリーのもとに現れた生後2カ月のリアーナ。同じ犬種同士、すぐに打ち解けるかと思いきや、予想外にシェリーは冷たい反応。けれどいっしょに遊んだりおやつを分け合ううちに少しずつ心を開いていきました」
右からリアーナちゃん(メス・1才)、シェリーちゃん(メス・6才)ともにボーダー・コリー
右からリアーナちゃん(メス・1才)、シェリーちゃん(メス・6才)ともにボーダー・コリー

【増田先生の解説】犬は経験から関係性を築きます

「同じ犬種だから仲よくなれる」という人の感覚は、じつは犬には当てはまりません。実際、犬種による行動傾向は性格全体のごく一部にすぎないという研究結果も。それよりも、遊ぶ・食べるといった経験を重ねることで、「このコは仲間」と認識し、少しずつ距離を縮めていくのです。

先輩犬の「オテ」を学んですぐに実践!(愛知県 H.I.さん)

「しんのすけが1才のとき、5カ月のはるを迎えました。食いしん坊のはるは、しんのすけが「オテ」をする姿を見てすぐに覚え、いつの間にかしんのすけより先に自分からオテをするように。それがすっかりゴハン前のルーティンになっています」
右からはるちゃん(メス・9才)、しんのすけくん(オス・10才)ともにミックス
右からはるちゃん(メス・9才)、しんのすけくん(オス・10才)ともにミックス

【増田先生の解説】犬は“ものまね”が得意な動物です

犬はほかの犬の行動をよく観察して学ぶ模倣の名人。これは本来、群れで協調して行動する犬の習性で、先輩犬の「オテ」を見てすぐに実践するような行動もその一例。そうした習性があるからこそ、群れのルールを学び、無理なく仲間にとけこむことができるのでしょう。

ゴハンを残していられない! 多頭飼いならではの意識改革!?(静岡県 A.H.さん)

「リンが来てから、先住犬のロイがそれまで少し残していたゴハンを残さなくなりました。食べ物への意識が変わったのか、好き嫌いも自然となくなっていったようです」
右からリンちゃん(メス・2才)、ロイくん(オス・3才)ともにミックス
右からリンちゃん(メス・2才)、ロイくん(オス・3才)ともにミックス

【増田先生の解説】ほかの犬に影響されて自分も食べる

ゴハンを残さなくなったのは「誰かが食べていると自分も食べたくなる」といった社会的促進(周囲の犬の行動が刺激となる現象)の一例で、多頭飼いの場面でよく見られます。競争意識や「いま食べないと取られるかも」という本能的な感覚も加わり、食への意欲が自然と高まったのでしょう。
多頭飼い読者さんのエピソードをご紹介しました。飼い主さんには不思議に思える愛犬の行動にも、ちゃんと理由があるんですね。
お話を伺った先生/獣医師。博士(獣医学)。東京農業大学農学部動物科学科(動物行動学研究室)教授 増田宏司先生
参考/「いぬのきもち」2025年10月号『多頭飼いライフから見えてきた 犬ってこんな動物です!』
写真提供/読者の皆さん
文/ヨシノキヨミ
※掲載の情報は「いぬのきもち」2025年10月号発売時のものです。
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