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飼い主から目をそらす犬にしてしまうNG行動|連載・西川文二の「犬ってホントは」vol.8

「いぬのきもちWEB MAGAZINE」より新たにスタートした連載、家庭犬しつけインストラクター西川文二氏の「犬ってホントは」です。
今回のお話は、幸せな犬生を送るためにとっても重要な「アイコンタクト」は、どうやって教えたらいいかについて。キーワードは「反面教師」。飼い主を見ない犬にしてしまうNG行動から紐解いて解説します。(編集部)

犬も飼い主も幸せ、かつ周囲にも迷惑をかけない犬にするためには、自発的に飼い主を見る犬に育てる。では具体的に何を教え、どう接していけばいいのか。
なんか難しそうな課題ですね。でも、こうした課題の最適解を無理なく見つける方法があります。
反面教師。
「なるほど、そ〜いうことをすると、失敗するんだ。じゃ〜、その逆のことをするといいんだ」、っていう最適解の見つけ方。
すなわち「自発的に飼い主を見る犬に育てるには、どうしたらいいか」を考えるなら、まずは、「自発的に飼い主を見ない犬にするには、どうすればいいか」を考える、ってこと。

ストレスをかけてくる相手からは視線を外す

犬と人間は哺乳類という仲間です。進化の過程において、脳の基本設計は変わりません。感情に関していえば、他人の気持ちを想像して動く恥ずかしいなどの複雑な感情は別として、うれしい、怖い、嫌だなどの、自己中心的な基本的な感情は変わらないし、結果的に嫌なことが起きる行動を避けるなどの基本的な行動原則も同じです。
ストレスをかけてくる相手とは視線を合わせようとしない、犬も同様です。犬にストレスをかける代表的な行為は、無理やり何かをさせようとすること、そして叱ることです。
反面教師にしましょう。飼い主にアイコンタクトをよく向けるようにしたいのなら、何かを教える際には無理矢理ではなく、わかりやすく教える。困った行動は、叱らないで改善する、ということです。
↑叱る相手からは視線を外す。やがて日常的にも視線を外すように
↑叱る相手からは視線を外す。やがて日常的にも視線を外すように

何をしていいかわからない、慣れない状況下では、視線は定まらない

挙動不審、あたふたするような状況。目が泳ぐ、という表現があるように、何をしていいかわからない、慣れていない状況に置かれれば、私たちの視線は定まりません。犬たちも同様です。飼い主に視線を向けることができなくなってしまうのです。
これも反面教師にしましょう。飼い主にアイコンタクトをよく向けるようにしたいのなら、「こういうときには、こうすればいいんだ」と教えることです。たとえば、飼い主が他人と話をするときにはオスワリ・マテ。犬連れとすれ違うときには、飼い主とアイコンタクトをとるなど、好ましい行動をたくさん教えること、犬が人間社会で生きていくなかで遭遇するさまざまな状況に慣らすことです。

↑最低限、何を教えるべきかは、JAHA家庭犬マナーチャレンジに記されている。くわしくはJAHAのホームページへ
↑最低限、何を教えるべきかは、JAHA家庭犬マナーチャレンジに記されている。くわしくはJAHAのホームページへ

最低限これくらいは教えよう、という指標

さまざまな状況でのオスワリ・マテを教える、犬や人、自転車や車、などの物体に慣らす、雑踏や交差点などさまざまな場所に慣らす。
最低限何を教えたらいいか、何に慣らしたらいいか。これらはJAHA(公益社団法人日本動物病院)が、家庭犬マナーチャレンジというチェック項目で明確にしています。
犬も飼い主も幸せ、周囲に迷惑をかけないための、いわば人間の義務教育的な内容。それが、JAHAの家庭犬マナーチャレンジです。
逆にJAHAの家庭犬マナーチャレンジを反面教師とすれば、その各項目がクリアできないということは、犬も飼い主も幸せではない、周囲に迷惑をかけている、ともいえる。
あ、そうだ、過去のコラムで「訓練の2文字を頭から消し去る」という話をしていますね。これも「反面教師」からのアプローチだったのですね、いま思い起こせば。

文/西川文二 
写真/Can ! Do ! Pet dog School提供

公益社団法人日本動物病院協会 家庭犬マナーチャレンジ

西川文二氏 プロフィール

公益社団法人日本動物病院協会(JAHA)認定家庭犬しつけインストラクター。東京・世田谷区のしつけスクール「Can ! Do ! Pet Dog School」代表。科学的理論に基づく愛犬のしつけ方を提案。犬の生態行動や心理的なアプローチについても造詣が深い。著書に『イヌのホンネ』(小学館新書)、『いぬのプーにおそわったこと~パートナードッグと運命の糸で結ばれた10年間 』(サイゾー)、最新の監修書に『はじめよう!柴犬ぐらし』(西東社)など。愛犬はダップくん(14才)、鉄三郎くん(10才)ともにオス/ミックス。
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