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成犬になると落ち着くって本当?|連載・西川文二の「犬ってホントは」vol.9
今回のお話は「犬はいつになったら落ち着くのか」。子犬はやんちゃで手がかかりますが、一方で「年を取れば落ち着く」といわれることも。はたして本当にそうなのでしょうか? その答えがわかりますよ。(編集部)
「ご自身が落ち着いた大人になったといえる年齢は?」
多くの方は30歳以降と答えるのではないでしょうか?
なぜ30歳以降で我々人間は落ち着いた大人といえるようになってくるのか?
そこには理由があります。
もちろん今回のお話も落とし所は犬の話になりますので、とりあえずといってはなんですけど、とにかく先へと読み進めてみてくださいな。
落ち着かないのはなぜ?
では、なぜ落ち着かないのか?
多くのスポーツにおいてその選手のピークは30歳前後です(もちろん個体差はありますが)。これは、その年齢まで肉体は発展途上にあり、体を動かしたい欲求が高いことを意味します。
脳のスポーツともいえる将棋においては、その強さのピークは20代半ばから後半といいます。これも脳がまだまだ発展途上にあり、結果さまざまなものに興味を抱きやすいことを意味する。
以上を裏返せば、30歳以降は、体を動かしたい欲求が減っていき、さまざまなものに興味を持つことも少なくなっていく。すなわち、落ち着くというのは、聞こえはいいのですが、生物としての成長のピークを過ぎ、老化がすでに始まったということでもあるのですね。
人間の30歳以降は犬でいうと・・・
実際に、犬を飼っていればわかるのですが、3歳以降エネルギッシュだった犬も、そのエネルギッシュ感が少し減ってきた印象を持ちます。好奇心の面でもトーンダウンが感じられていきます。
そうそう、つい最近、老化の程度の指標となる「DNAのメチル化」、その犬に関する研究発表がありました。それによると、ラブ(=ラブラドール・レトリーバー)は3歳で人間の48.5歳に相当するとのこと。多くのラブを見て来た私としては、行動面ではそれほど歳を取っているとは思えないのですが、少なくとも「DNAのメチル化」という指標では、3歳のラブは生物としての成長のピークを過ぎ老化がそれなりに進んでいる、ということのようです。
落ち着くことと問題がなくなることは別
人間と同じです。いうまでもありません。30歳以降に落ち着くからといって、人間の子どもを産みっぱなしで放っておいたらどうなるか?
犬の場合も、必要な教育としつけを行うことが前提で、その延長線上に犬も人も幸せ、周囲にも迷惑をかけない、人間社会のなかで共生できる、落ち着いた犬へと育てていけるのです。
くれぐれもそこのところは、勘違いしないように。
ところで先の「DNAのメチル化」の研究。ラブ以外はどうなのか、って気になりますよね。まぁ、それに関しては、今後の研究に大いに注目したいところ、といったところですね。
写真/Can ! Do ! Pet dog School提供
西川文二氏 プロフィール
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