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犬をクレートに入れるのはかわいそう?|連載・西川文二の「犬ってホントは」vol.13
今回は、多くの人がカン違いをしている、クレートとサークルについて。クレートは犬を閉じ込めてしまうようで「かわいそう」と思う飼い主さんが多いですが、本当にそうなのでしょうか? 実はサークル飼いのほうが、かわいそうな結果になってしまうとか!?(編集部)
かつて盲導犬の育成のお手伝いをしていたころから、広く紹介しているトイレの教え方です。
ところがこの前、「トイレトレーニングでクレートに閉じ込めるのはかわいそうに思える」といった書き込みが、ネットにありました。
クレートに閉じ込める?
う〜ん、どうも誤解しているようなので、ここはひとつ、補足を……
クレートを活用するとトイレもすぐに覚える
クレートトレーニングとは、そのクレートに嫌がらずに入り、扉を閉めても排泄をガマンできる時間おとなしく待機できる、そのように教えるトレーニング。
車に乗せる際は、クレートに犬を入れ、そのクレートにシートベルトかける。
クレートに入れない犬は、チャイルドシートを拒絶する幼児と一緒。運転中の安全も、万が一のときの命も守れない。
クレートで待機できない犬は、災害時にも困る。避難が困難になるから。
すなわち、犬を不幸せにしないために、クレートトレーニングは今や欠かせないトレーニングなのです。
そして、このクレートトレーニングを行うことで、トイレも並行して簡単に教えていけるのです。
けっして閉じ込めてはいけない
いいことが起きる状況は受け入れる。
中に入るといいことが起きる、リラックスできる、安心して休める。クレートをそうした場所として理解させるだけです。
逆に、嫌なことが起きる状況は拒絶します。
「閉じ込める」ということをしてしまえば、犬としては嫌なことが起きるわけで、クレートに入ることを拒絶するようになる。
また、体、寝床を汚さない習性を、犬は持っている。必然的に犬はクレートの中での排泄を控えます。
子犬はよく眠る。ゆえにクレートを寝床と理解させやすい。
子犬は排泄のサイクルも短い。ゆえにトイレでの排泄成功体験を、たくさんさせやすい。
飼い始めの時期からクレートトレーニングを行う意味、並行してトイレトレーニングも簡単にできていく理由も、ここにあるわけです。
ご存知ですか? サークルのジレンマ
クレートを活用すれば、トイレは1カ月で完璧。
噛みつき欲求の強い、いたずらを学んでいく時期は、クレートを活用しそれらを体験させないようにする。
一方でオイデやマテなどイタズラを防げる行動を教えていく。そうすれば、第二次性徴期を過ぎたあたりで、イタズラにも悩まされなくなります。
クレートトレーニングができていれば、飼い始めから半年もすれば、リビングでかなりの時間を自由に過ごさせることが可能になっていくのです。
ちなみに、ほとんどの飼い主が取り入れる「サークル飼い」。トイレ以外での排泄もイタズラも一向に減らない、なんて結果になることが少なくない。
のちのち自由にするためにサークルを用意したのに、自由にできる時間(サークルから出す時間)がどんどん減っていく。
これが、サークルのジレンマ。え? ご存知なかった?
では、これを機会に覚えておくといいですよ。
写真/Can ! Do ! Pet Dog School提供
西川文二氏 プロフィール
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