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育った環境が同じでも【穴澤賢の犬のはなし】

大福と散歩していると、よく「兄弟ですか?」と聞かれる。その度に「違うんでんすよ」と答えると「でもそっくりですよね」と驚かれるが、たしかに似てるといえば似ている。が、大吉の母親に柴の血が少し入っていることは知っているが、福助についてはどんな親だったかもまったく分からない(保護された元のら犬だから)。性格も全然違う。

性格が全く違う2頭

たとえば大型犬でもひるむことなく、どんな犬でもフレンドリーに接することができる大吉に対して、福助はビビる、ひるむ、逃げる。自ら近づいて行くことなどまずない。この前など散歩中に、体重3キロくらいのミニチュアピンシャーが「遊ぼ!」と駆け寄ってきたときにキャンキャン泣きながら逃げまくっていた。体重16キロもあるのに。

内弁慶、福助

それなのに、家では大吉にはしょっちゅうけんかを売っている。オモチャを2つ与えても、必ずどちらも自分のモノにしようとする。心が狭いというか、自分本位というか。それでも大吉が本気で怒ることはないから、甘やかされて「末っ子魂」丸出しのやりたい放題になっている。

大人な大吉の苦手なこと

いっぽう、大吉が苦手なこともある。花火と雷と暴走族の音にやたらおびえるのだ。散歩で信号待ちをしているときにバイクの爆音が聞こえでもしたら、ブルブル震えだす。傍目にも分かるくらいおびえて震えているから、通りがかった人が心配そうに見ることもある。虐待していると勘違いされそうだから、止めて欲しいんだけど。

いろいろ図太い、福助

その点、福助はまったく動じない。暴走族だろうが、雷がゴロゴロドッカンいってようが、ヘソ天で寝ていたりする。妙なところがとても図太い。でもそこだけは繊細な大吉にも見習って欲しいと願う。

どうしてこうも違うのか

どちらも子犬の頃からわが家にいるから、同じ環境で育ったはずなのに、なぜこれほど違うのか。でも大喜びすることはどちらも同じだ。久々に山の家にでも遊びに行こうかね。



プロフィール
穴澤 賢(あなざわ まさる)
1971年大阪生まれ。2005年、愛犬との日常をつづったブログ「富士丸な日々」が話題となり、その後エッセイやコラムを執筆するようになる。著書に『ひとりと一匹』(小学館文庫)、自ら選曲したコンピレーションアルバムとエッセイをまとめたCDブック『Another Side Of Music』(ワーナーミュージック・ジャパン)、愛犬の死から一年後の心境を語った『またね、富士丸。』(世界文化社)、本連載をまとめた『また、犬と暮らして』(世界文化社)などがある。2015年、長年犬と暮らした経験から「DeLoreans」というブランドを立ち上げる。

ブログ「Another Days」
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大吉(2011年8月17日生まれ・オス)
茨城県で放し飼いの白い犬(父)とある家庭の茶色い犬(母)の間に生まれる。飼い主募集サイトを経て穴澤家へ。敬語を話す小学生のように妙に大人びた性格。雷と花火と暴走族が苦手。せっかく海の近くに引っ越したのに、海も砂浜もそんなに好きではないもよう。

福助(2014年1月11日生まれ・オス)
千葉県の施設から保護団体を経て穴澤家へ。捕獲されたときのトラウマから当初は人間を怖がり逃げまどっていたが、約2カ月ほどでただの破壊王へ。ついでにデブになる。運動神経はかなりいいので、家では「動けるデブ」と呼ばれている。
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