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犬が話せたら言って欲しいこと【穴澤賢の犬のはなし】

梅雨だから、このところ雨の日が多い。雨でも朝夕は散歩には行く。なぜなら彼らが外でしか排せつしないからだ。家にトイレスペースも設置しているのに、自らそこではまずしない。促せば寝る前にオシッコくらいはするが、ウンチは外でしかしない。

飼い主の悩み

だからどんなに豪雨でも、散歩には行かねばならない。「うちもそう!」と分かってくれる人も多いと思うが、これはもうほとんど諦めの境地で「雨だから行かない」という選択肢はない。でも、できれば止んでくれないかな、せめて小雨になってくれないかなとは思う。
この前も朝から雨がしとしと降り続き、昼頃から雨足が強くなり、さらに強風が吹き荒れるという日があった。私は仕事部屋でパソコンに向かいながら、外から聞こえる雨と風の音にげんなりしていた。ときどき窓を開けて見ると、すさまじい横殴りの雨が吹き込んでくる。「あぁ、こんな中歩きたくねえなぁ」と思いながら仕事をしていた。

雨の合間のチャンス

夕方になっても雨は降り続いていた。あきらめて、そろそろ行くかと思っていると、急に外が静かになった。もしかして?と外を見ると、なんと雨があがっている。「今しかない!」とぐずぐず昼寝している大福を急かしてすぐ散歩に出た。
(※別日の撮影です)
すると、出て5分もしないうちに、ポツポツと大粒の雨が降り始めた。止んだと思ったから、いつも雨の散歩で着ているレインコートは私も大福も着ていない。しまったと思ったときには手遅れで、再びザーザー降り出した。止んだわけではなく、ただ雲の隙間だったのだ。

ずぶ濡れに耐える飼い主

(※別日の撮影です)
なすすべもなく、ずぶ濡れになっていく。それでも耐えながら歩いたが、大吉と福助にウンチをしそうなそぶりがない。そればかりか「こんな雨の中、なんで歩かなきゃいけないの?」と不満そうな顔をしている。しばらく様子を見たが全然しないので「帰ろうか」と言うと、2頭とも急ぎ足で家に向かう。

しないなら言ってほしい

私はパンツまでびしょ濡れになり、彼らも洗った直後ぐらい濡れている。玄関に入ると、ブルブルを繰り返し、2頭して「はぁ〜災難だったわ〜」という顔をしていた。まるで無理矢理私に付き合わされたかのように。君らが何を考えているのか、どんな要求をしているのか顔や態度を見たらだいたい分かるからいいが、ウンチしたくないのなら、そう言ってくれ。



プロフィール
穴澤 賢(あなざわ まさる)
1971年大阪生まれ。2005年、愛犬との日常をつづったブログ「富士丸な日々」が話題となり、その後エッセイやコラムを執筆するようになる。著書に『ひとりと一匹』(小学館文庫)、自ら選曲したコンピレーションアルバムとエッセイをまとめたCDブック『Another Side Of Music』(ワーナーミュージック・ジャパン)、愛犬の死から一年後の心境を語った『またね、富士丸。』(世界文化社)、本連載をまとめた『また、犬と暮らして』(世界文化社)などがある。2015年、長年犬と暮らした経験から「DeLoreans」というブランドを立ち上げる。

ブログ「Another Days」
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大吉(2011年8月17日生まれ・オス)
茨城県で放し飼いの白い犬(父)とある家庭の茶色い犬(母)の間に生まれる。飼い主募集サイトを経て穴澤家へ。敬語を話す小学生のように妙に大人びた性格。雷と花火と暴走族が苦手。せっかく海の近くに引っ越したのに、海も砂浜もそんなに好きではないもよう。

福助(2014年1月11日生まれ・オス)
千葉県の施設から保護団体を経て穴澤家へ。捕獲されたときのトラウマから当初は人間を怖がり逃げまどっていたが、約2カ月ほどでただの破壊王へ。ついでにデブになる。運動神経はかなりいいので、家では「動けるデブ」と呼ばれている。
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