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リードの持ち方次第で犬がストレスに!?|連載・西川文二の「犬ってホントは」vol.43

「いぬのきもちWEB MAGAZINE」が送る連載、家庭犬しつけインストラクター西川文二氏の「犬ってホントは」です。
今回は、リードの持ち方を考えさせられるお話。リードの持ち方次第では、愛犬にストレスを与えてしまうこともあるそう! あなたの持ち方は、今回のお話に当てはまっていませんか?(編集部)

「すごいですね、忠実ですね、私の言うことは全く聞きませんね」
随分昔の話ですが、犬はもちろん動物全般に詳しい、名前を記せば誰でも知っている著名人Xさんが、テレビの海外ロケでこのようなコメントを口にしていました。
犬は忠実でご主人さまの言うことしか聞かない。その確認ができた風なコメントですが、「言うことを聞かないのは、訓練士に忠実だからではない」、とその場面を見ながら突っ込んだことを記憶しています。
前回、家ではできるのに外でできない、その理由を記しましたが、これも似たようなお話し。
要はストレスの問題。

何がストレスになっていたのか

映し出されていたのは、10m→5m→10mほどのコの字のコースを、犬を左側につけ歩かせ途中オスワリを指示するというシーン。
Xさんは、私もやってみていいですかと、同様にコースを歩いたわけです。
犬は止まったり、横に引っ張ったり、オスワリの指示にも訓練士がやったように反応しない。訓練士とXさんの違いは何だったのか。
答えはリードのテンションです。
動物全般に詳しいとはいっても、犬のトレーニングの実践に詳しいわけではありません。
Xさんは訓練士からリードを預かったその瞬間から、リードを上方に引き上げ、首に圧力を与えていたのです。

リードがピンと張ること、がストレス

リードを上方に引き上げる、強く行えば首が締まります。
家庭犬(=コンパニオン・ドッグ)は、飼い主と幸せな日々を送るのが重要。そのために罰を活用するトレーニングはNGですが、訓練犬は命令に従うことを重要視するので、そのための手段として罰を与える道具(=チョークカラー)も使用します。
とくにトレーニングの初期段階では、要所要所でリードを強く引き首にショックを与え、命令に従うことを教えていきます(命令に従わないと罰が与えられる)。
たたでさえリードが上に引き上げられるのはストレスとなりますが、訓練犬はとりわけこの首にかかる圧力に敏感となるわけです。
Xさんにリードを上方にピンと引き上げられた犬が、多大なストレスを感じたことは間違いありません(もちろん社会化ができていない犬の場合は、他人がそばにいるだけで大きなストレスを感じますので、それも影響しているかと思いますが)。
ストレスにより交感神経が優位に立ち、普段できることができなくなった。そういうことなのです。
リードを引き上げること、イコール犬にストレスを与えること

犬をコントロールするのはリードにあらず

お教室では、飼い主を見上げて歩くトレーニングを指導しますが、このときに飼い主にリードを引き上げられている犬は、100%といっていいくらいに飼い主を見上げません。
もちろん、リードをたるませるように何度でもアドバイスするのですが、どうしてもリードを引き上げてしまう飼い主がいる。
リードを引き上げることが、癖になっているわけです。
そうした飼い主にはリードを握っている手の親指を、ズボンの前ポケットに入れて歩くようにアドバイスします。
親指がポケットから抜けないように意識させる。
これを繰り返すことで、リードを引き上げてしまう癖が修正され、やがて犬は飼い主を見上げて歩くようになるのです。
一度試しに、ズボンの前ポケットの親指を入れて歩いてみてください。
ポケットから親指がついつい抜ける飼い主さんは、日頃リードを引き上げている証拠ですよ。
みぞおち辺りに引き上げるとリードが張る位置を持ち、親指は前ポケットに入れる
ポケットに指を入れるとリードがたるみ、結果リードを持った人を見上げながら歩くようになる
文/西川文二
写真/Can ! Do ! Pet Dog School提供
https://cando4115.com/index.html

西川文二氏 プロフィール

公益社団法人日本動物病院協会(JAHA)認定家庭犬しつけインストラクター。東京・世田谷区のしつけスクール「Can ! Do ! Pet Dog School」代表。科学的理論に基づく愛犬のしつけ方を提案。犬の生態行動や心理的なアプローチについても造詣が深い。著書に『イヌのホンネ』(小学館新書)、『いぬのプーにおそわったこと~パートナードッグと運命の糸で結ばれた10年間 』(サイゾー)、最新の監修書に『はじめよう!柴犬ぐらし』(西東社)など。愛犬はダップくん(15才)、鉄三郎くん(11才)ともにオス/ミックス。
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