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気づいたときには進行している……恐ろしい「犬の腎臓病」

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「腎臓病」は、なんらかの原因で腎臓が正常に働かなくなった状態の総称のこと。

実は「がん」「心臓病」に並び、犬の3大死因のひとつと言われています。症状が出にくいため早い段階で発見することが難しく、検査で異常が確認されたときには、かなり進行していることも少なくない病気なのです。
獣医師の宮川優一先生にお話を伺いました。犬に多い腎臓疾患について知って、腎臓病の早期発見・早期治療の備えとなるよう役立ててください。

イラスト/sayaka Iso
イラスト/sayaka Iso

「急性腎障害」と「慢性腎臓病」がある

腎臓病はその経過によって2つに分類されます。中毒や心疾患などの原因が生じてから早くて2時間、遅くても1週間以内に発症し、急激に症状が悪化する「急性腎障害」と、何年もかけて腎機能が衰える「慢性腎臓病」があります。

急性か慢性かで症状や原因も異なり、一時的な機能不全で治療によって回復が見込める急性腎障害と違い、炎症が徐々に広がって慢性的にダメージを受ける慢性腎臓病は、完治することはありません。

【急性腎障害】予兆もなく発症し、短時間で腎臓の働きが低下する

なんともなかったのに突然嘔吐が見られるようになった、食欲がない、オシッコが出ていないなど、急激に腎臓の働きが低下してしまう状態を「急性腎障害」といい、さらに進行して腎機能の低下が重度になった状態を「急性腎不全」といいます。 

原因は、血液循環のトラブル、腎臓自体のダメージ、尿の排出トラブルによるものと大きく3つに分類され、それぞれ対処法が異なります。早く症状に気づき、適切な治療によって腎機能が回復することもありますが、対応が遅れると、たとえ救命できたとしても予後は悪く、慢性腎不全に移行してしまうこともある怖い病気です。

イラスト/sayaka Iso
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「急性腎障害」の症状

急性腎障害にほぼ共通するのが以下のような症状です。1つでも異変に気づいたらすぐに動物病院を受診しましょう。

・オシッコの量が減った
・オシッコが出ていない
・食欲や元気が急になくなった
・嘔吐 など

【慢性腎臓病】気づくころには腎臓の7割以上が機能を失っていることも

じつは腎臓病と診断される病気には専門家でないとわからないくらい多くの病種や原因が存在します。そのなかで、何かしらの原因で腎機能の低下が3カ月以上続いている状態を総称して慢性腎臓病と呼んでいます。

腎臓の細胞がどれだけ機能しているか血液検査の数値によって4つのステージに分類されますが、腎臓には壊れた部分の働きを残りの部分で補う能力があるため、大幅に機能が低下するまで異常を示す数値として出てこないことも。
尿の量などで異変に気づき、検査を受けたときにはすでにステージ2に近いなど進行した状態で見つかるケースが少なくありません。

イラスト/sayaka Iso
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「慢性腎臓病」の原因として知られる腎疾患

■糸球体腎炎
腎臓にある血液をろ過する働きをもつ糸球体に炎症が起きる病気。尿にたんぱくが出るのが特徴で、フィラリア症や免疫疾患が関係するといわれます。

■腎盂腎炎
細菌感染や尿路結石、膀胱炎などが原因で、尿管と腎臓をつなぐ「腎盂」に炎症が起きる病気。膵炎や腸炎などと同時に発症することも。

ほかにも腎臓に関係する病気は多数あります。

予防と早期発見のために日頃からできること

1.5才を過ぎたら、定期的な血液検査と尿検査を受けましょう

腎機能の低下を招く病気にかかりやすくなるシニア犬はもちろん、愛犬はまだまだ若くて元気と思っていても、5才を過ぎたら年に1回は健康診断を受けましょう。血液検査だけではなく尿検査も必ず受けることで、腎臓のろ過機能の低下が原因で尿中にたんぱくが出てしまっている、などの異常を発見する手がかりになります。

2.常に十分な水分をとるようにしましょう

十分な水分補給が行われずに脱水状態になると、糸球体がダメージを受けて腎機能が衰える原因に。常に新鮮な飲み水を用意しておくのはもちろん、食事にも工夫をして水分摂取を心がけましょう。ドライフードは水分の含有が少なくなりがちなので、ウエットフードを取り入れたり、スープを加えるのも◎です。

3.日ごろから、オシッコや排尿時の様子を気にかけて

腎臓病の発見には、日ごろから愛犬の尿の状態を把握することも大事。トイレシーツでオシッコをする犬であれば、尿の色や量もわかりやすいですが、散歩中にオシッコをする犬であれば、尿の回数をチェックするようにしましょう。また、排尿時に痛みを感じて鳴いたりするケースは、泌尿器系の異常が疑われることもあります。

【check!】
□オシッコの色が薄い
□オシッコの量が多い/少ない
□オシッコの回数が多い/少ない
□トイレに行っても出ていない
□排尿時に痛そうにしている

イラスト/sayaka Iso
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4.年齢や体に合った食事を心がけて

健康な犬なら予防の段階で食事制限をする必要はありませんが、おやつを含め、たんぱく質が多すぎるなど栄養が偏っていないか、適正カロリーを超えていないか年齢に応じて見直すことが大切です。慢性腎臓病と診断された場合はリンやたんぱく質、塩分などを制限した療法食が有効とされています。

5.人の食べ物は禁物! 過剰な添加物にも注意

人用に調理された食べ物は味も濃くて脂質や塩分も多く、腎臓に負担がかかるため与えるのはNG。過剰な添加物の入ったジャーキーなどもおすすめしません。おやつを与えるなら、たんぱく質が含まれていない野菜などを選ぶと、リンの含有も少ないのでおすすめです。

6.中毒性のあるものに近づかせない

犬にとって腎毒性物質といわれているのが、人の風邪薬などに含まれるイブプロフェンなどの成分、不凍液の原料として使用されるエチレングリコール、ぶどうやレーズンなど。誤って飲みこんでしまうと、消化管から体内に吸収され数時間で急性腎不全を引き起こします。

イラスト/sayaka Iso
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7.歯周病のケアを怠らない

歯周病が悪化すると細菌や炎症物質が血流に乗って体内をめぐり腎臓にも影響を及ぼすことが。慢性腎臓病と診断を受けている犬には同時に歯周病の進行が見られるケースが多く、口腔の健康を保つことが慢性腎臓病の予防の助けになる可能性もあるといえるでしょう。

犬にも、人のように人工透析を受けるという治療もありますが、入院や費用などの負担が大きいうえ、必ず救命できるわけではないのが現状です。そこまで至らないうちに、尿検査を含めた健康チェックを欠かさずに受けて早期の発見と療養につなげましょう。

参考/「いぬのきもち」2018年8月号『知っておきたい「犬の腎臓病」』(監修:日本獣医生命科学大学臨床獣医学部門治療学分野I・講師・獣医師 宮川優一先生)
イラスト/sayaka Iso
文/sato

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