吠えなどの困りごとは、つい感情的な言葉をかけがちですが、愛犬を興奮させるだけなので逆効果ってご存じですか? 否定せず、してほしいことを犬が理解しやすいように「ひと言」で伝えると、困りごとが解決し、関係性もアップします。今回は噛みグセに効果的な「伝わる! ひと言しつけ」の方法を、ドッグトレーナーの戸田美由紀先生に教えていただきました。
”ひと言”こそが犬にはイイ理由
・ひと言だから伝わりやすい!
・ひと言で関係性UPになる!
コツは3つだけ!
1.短くひと言で!
2.否定的な言葉はNG!
3.愛犬に「何をしてほしいか」を伝える
シーン1 おもちゃ遊び中に手をあま噛みするときのひと言=「オワリ」
あま噛みされたあと、「も~、イタイ!」「ヤメテよ~!」などと大げさに騒ぎながら遊び続けると、犬にとっては噛んだら音が出るおもちゃと同じ反応に見えることも。おもしろがって余計に噛みグセを悪化させてしまいます。
おもちゃで遊んでいるときに興奮しすぎて噛まれる場合は、噛まれた手をおもちゃごと背中にすばやく隠し、なるべく低めの声で「オワリ」と伝えて。「噛んだら飼い主さんとの楽しい時間が終わる」と犬に伝わりやすくなって、噛み防止につながります。
【ひと言しつけにプラス】慣れるまではリードをつけて遊ぶ
興奮しやすい愛犬なら、上手に遊べるようになるまでの間は、リードをつけた状態で遊びましょう。左手でリードを持っておき、愛犬が興奮して噛まれそうになったら、すぐにリードで引き離すことを繰り返して。
【ひと言しつけにプラス】飼い主さんに有利なおもちゃを選ぶ
あま噛みグセが直るまでの間は、愛犬がすぐ興奮状態になるほど大好きなおもちゃは使わないほうがベターです。飼い主さんが持ちやすく、愛犬より有利にコントロールできるおもちゃを使うのもひとつの手。
シーン2 家具などを噛むときのひと言=「アッアッ!」
犬が家具などを噛む理由の多くは「暇つぶし」です。そんなときに飼い主さんが「ダメだってば!」「キャ~ッ!」などと大げさに反応すると、「次は飼い主さんにバレないように噛もう♪」とゲーム感覚になる犬も。
愛犬の目は見ずに、家具を噛んでいることには気づいていないフリをしながら「アッアッ!」と意味のない声を出し、愛犬の気をひいて噛みを中断させます。愛犬の意識が家具以外に移ったタイミングを見計らい、可能であれば家具を遠ざけておくと万全です。
【ひと言しつけにプラス】おもちゃを先に置いておく
噛んでいいものがきちんと用意されていれば、暇つぶしに家具を噛む必要もありません。ゴム製おもちゃなど、噛んでいいおもちゃをあらかじめ置いておき、愛犬がおもちゃで遊べていたらしっかりほめましょう。
【ひと言しつけにプラス】苦みスプレーを塗っておく
上記の対策で、愛犬の意識が家具以外に移ったときに、それまで噛んでいた場所にたっぷり苦みスプレーを塗っておきましょう。そのあと愛犬が噛むことがあれば、「噛むと嫌な味がする」と覚えて避けるように。
※苦みスプレーを家具に使用する場合は、変色や色落ちすることがないか事前にご確認ください。
いかがでしたか? つい発してしまいがちな「ネガティブワード」を言い換える意識をもって、困りごとに向き合ってみましょう!
お話を伺った先生/日本動物病院協会認定家庭犬しつけインストラクター、DOG IN TOTAL主宰 戸田美由紀先生
参考/「いぬのきもち」2022年9月号『伝わる! ひと言しつけ』
写真/尾﨑たまき
文/いぬのきもち編集室