犬の感情は、しぐさや表情にあらわれます。目・耳・口・しっぽなど、体の各部位のちょっとした動きが、愛犬の気持ちを理解するヒントになるかもしれません。
そこで今回は、犬の「口」の動きに注目。口の動きから読み取れる犬の気持ちを、獣医師の増田宏司先生に教えていただきました。
※使用している写真はイメージです。
口が開いているのは“うれしい”から
犬はうれしさや楽しさを感じると、顔の筋肉がゆるみ、口まわりもゆるんで口が開き、広角を上げて笑顔のような表情になります。
「不安」のサインのことも
不安や緊張から息が荒くなり、体温調節のために呼吸がせわしなくなるほか、吠え声を出すための前兆として、口が開いていることがあります。この場合、口角は下がっていることが多いです。
ちなみに、あくびもストレスサインのことが。眠いときだけでなく、ストレスを感じたとき、体の緊張をやわらげようとしてあくびをすることがあります。眠くなる時間帯以外で、あくびの回数が増えた場合は注意しましょう。
口を閉じているのは“つまらない”から
とくに楽しいことがなく、退屈だと感じているときのほか、眠いときや疲れているときは口を閉じ、真顔に近い表情になることがあります。
「満足」していることも
犬が満足して落ち着いた状態にあるとき、口を開いたままでいるには口まわりの筋肉を使うため、エネルギーの消費を抑えるために口を閉じたままにしていることも。フセやオスワリなどリラックスした姿勢で口を閉じ、耳の位置にも変化がなく、全身に緊張感がなく筋肉がゆるんでいたら、満足している可能性があります。
歯がむき出しなのは“怒り”
眉間にシワを寄せて歯をむき出しにしているときは、非常に強い怒りや興奮を覚えており、攻撃行動の前触れのことが多いです。
「受け入れます」のサインかも
通常は怒りの表情ですが、初対面の人や犬に対して見せる「服従の笑顔」と呼ばれるサインのことがあります。非常にレアなしぐさで、無防備におなかを見せる動作と同じく、相手に敬意や信頼の気持ちを示すときに行います。うなったり震えたりしていないことが見極めのサインとなります。
舌が出ているのは“幸せいっぱい”だから
犬が幸せいっぱいの気分のときは、口まわりの筋肉がさらにゆるみ、口を開くだけでなく、口角を上げた状態で舌をだらんと口の外に出すことがあります。
「暑さ」を感じていることも
体温調節が追いつかず、体の中にこもった熱を外に逃そうとして舌を出していることがあります。ハアハアと激しい呼吸を繰り返している、唾液の量が多いほか、舌を長時間だしっぱなしにしていたら暑さを感じている可能性が。口角が上がっていることも多いので、うれしいときとの見分けに注意して。
舌で鼻をなめるのは“腹ペコ”だから
いわゆる「舌なめずり」の動作。目の前に食べ物があり、食べたいという気持ちからこぼれたヨダレをなめとろうとしています。
「ストレスサイン」のことも
たとえば飼い主さんが声を出したときなど、食事の前後ではないタイミングでしきりに鼻をなめていたら、緊張や不安から自分を落ち着かせようとしている可能性があります。ストレスを感じると口の中が乾燥しやすくなるので、唾液で湿らせようと口内をくちゃくちゃさせて舌で鼻をなめているときは、ストレスサインの可能性があります。
口元の動き方によっては、暑さやストレスなど注意すべきサインのこともあります。目や耳などほかの部位や、前後の状況なども見つつ、総合的に判断しましょう。
お話を伺った先生/増田宏司先生(獣医師 博士(獣医学) 東京農業大学農学部動物科学科(動物行動学研究室)教授)
参考/「いぬのきもち」2025年12月号『表情・しぐさの勘違いをなくしてもっとわかりあえる!ホントのきもちの読み方』
文/柏田ゆき
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
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