愛犬が吠えたり、噛んだりするとき、「ダメ!」と叱ってもやまない場合は、逆に、吠えや噛みを強化することになりかねません。解決の第一歩は、吠えや噛みの理由を知ること。飼い主さんのカンちがいポイントを知って、困りごとを解決しましょう! 今回は「吠え」について、しつけトレーナーの荒井隆嘉先生に解説していただきました。
寝るとき吠える犬のアタマの中は……
飼い主さん「じゃあ、おやすみなさい」
愛犬「え、どこかへ行ってしまうんですか?」
飼い主さん「しぃー。静かにして。寝る時間よ」
愛犬「戻ってきてくれましたね。うれしいです」
●カンちがいポイント!
吠えて飼い主さんが戻ってくると、「吠えれば戻ってくる」と犬は学習し、期待して吠えることに。
夜、飼い主さんと離れるのが寂しい
寝る時間になって、飼い主さんが目の前からいなくなると吠えるのは、単純に寂しいから。留守番のときは吠えないのに、飼い主さんが家にいるとわかっていると、吠えて飼い主さんを呼び戻そうとするのです。その吠えに飼い主さんが応じてしまうと、犬は吠えれば飼い主さんが戻ってくると思い、寂しさと飼い主さんへの期待から吠えるクセがついてしまうことがあります。
寂しさを感じさせないようふれあいの時間と環境づくりを
寝る時間になっても愛犬が寂しがるのは、飼い主さんと愛犬とのふれあいの時間が足りないのかも。日中、散歩や遊びなどで充分にふれあえば、夜は疲れて眠るでしょう。また、誰もいないがら~んとした部屋も寂しさを募らせます。寝るときは、ケージに布をかけて視界を遮り、余計な不安や期待を感じさせない環境づくりを。
ゴハンのとき吠える犬のアタマの中は……
愛犬「そろそろゴハンの時間かな? ゴハンの音がする! いいニオイもしてきた!」
●カンちがいポイント!
貴重なゴハンの時間がきたことを犬は察知。いくら「待って」と言っても、犬は待ってくれません。
大切なゴハンの時間。期待と興奮が高まって……
ゴハンの時間になると犬が吠えるのは、ずばり「早くゴハンをください!」と要求しているから。たとえば、愛犬に与えるゴハンが朝と夜の2回だけで、ゴハンの時間も毎日同じ時刻に決まっていると、こうした要求吠えが起こりがちです。ゴハンの時刻が近づくと、飼い主さんがゴハンを用意する音や刺激的なニオイもする。しかも1日に2回だけ。期待と興奮が高まって吠えてしまうのです。
ゴハンに対する高まる期待を静めて
まずゴハンを与えるときは、犬に必要以上に待たせないようサッと出せるように準備を。あらかじめ1食分を保存袋に入れておくとよいでしょう。また、ゴハンが1日2回だと、犬の期待がどうしても高まってしまいがち。1日分のゴハンを数回に小分けし、与える時刻もアトランダムにして、ゴハンへの期待が高まらないようにして。
いかがでしたか? 正しいと思っていた飼い主さんの行動に、じつはカン違いポイントがあるのかも。ふだんの接し方を見直してみてくださいね。
お話を伺った先生/犬のしつけ教室DOGLY代表 荒井隆嘉先生
参考/「いぬのきもち」2023年11月号「犬のアタマの中をのぞいたら吠え・噛みの理由がわかった」
写真/佐藤正之
文/いぬのきもち編集室