この特集では、難病や障がいをもった愛犬とその飼い主さんの、闘病や暮らしの様子をレポートします。
今回ご紹介するのは心臓疾患が原因の重度の熱中症から奇跡の復活を遂げたトイ・プードルのフォアちゃん。17才を迎え難聴を併発しながらもたくましく生きる様子をご紹介します。
17才を迎えた今は、無理のない治療を続けて自然体で楽しく毎日を過ごしてほしい
東京都にお住まいのTさんご夫妻宅のフォアちゃんは、10才で僧帽弁閉鎖不全症の診断を受けました。16才のときには重度の熱中症となり生死の間をさまよいましたが、迅速な対応により奇跡的に復活。17才を過ぎ、現在はほとんど耳も聞こえなくなりましたが、病気とうまくつきあいながら、元気に過ごしています。そんなフォアちゃんの毎日のお世話と工夫を聞きました。
心臓病が悪化しないよう、夏は涼しく、冬は暖かくを常に心がける
夏はエアコンの温度設定を23℃にして、人が少し寒く感じるくらいの室温にしています。また、真夏の散歩は控えるようにします。冬はエアコンの暖房とオイルヒーターを併用。触れても安全なオイルヒーターの近くにベッドを置いて体を冷やさないようにします。
フォアちゃん(メス・17才/2.6㎏/トイ・プードル/おとなしいけど芯は強い)
現在は耳がまったく聴こえないので、ジェスチャーで指示を出すように
13才を過ぎたころから耳が遠くなってきて、現在はほとんど聴こえないため、家では常にフォアちゃんが見える場所にいるようにします。おやつのときはハイタッチ、呼ぶときは手招きのジェスチャーをするとすぐに反応します。
撮影/尾﨑たまき
シニアになってゴハンのえり好みが出てきたので、数種類のトッピングをそろえておく
食欲は旺盛ですが、食の好き嫌いが出てきたので、心臓病専用のドライフードに加えるトッピングは数種類用意。獣医師監修の手作りのウエットフードが今のお気に入り。
撮影/尾﨑たまき
毎日の投薬時、小さな薬のかけらを落とさないようピンセットでつまみ、犬用おやつに混ぜて与える
フォアちゃんの体重に合わせた錠剤は小さなかけらになるので、ピンセットで慎重につかみ、ペースト状のおやつにくるんで与えます。この方法だと飲んでくれるそう。
撮影/尾﨑たまき
Tさんご夫妻の愛情と献身的なケアによって17才の今も健やかな日々を送るフォアちゃん。最後に奥様は、「フォアとの幸せな毎日が一日でも長く続くことを願っていますが、フォアの負担になるような過度な食事制限や治療は避けたいと思っています。自然な形で食べたいものを食べて、外での散歩もたまに楽しんで天寿をまっとうしてくれたら」と語ってくれました。
撮影/尾﨑たまき
出典/「いぬのきもち」2024年5月号『困難と闘う!……その先のしあわせへ』
写真/尾﨑たまき
写真提供/Tさん
取材協力/ペットクリニカルサービスmama-one
取材・文/袴 もな
※掲載の情報は「いぬのきもち」2024年5月号発売時のものです。