この特集では、難病や障がいをもった愛犬とその飼い主さんの、闘病や暮らしの様子をレポートします。
今回ご紹介するのは、副腎に腫瘍を抱えながら、前十字靭帯断裂の手術を乗り越えたラブラドール・レトリーバーのオッティーちゃんのお話です。
2才のとき、輪部メラノーマの切除手術を行う
千葉県・Tさん家のオッティーちゃん(メス・15才/29.6㎏/ラブラドール・レトリーバー/おっとりしてやさしい)
千葉県にお住まいのTさん宅のオッティーちゃんは、11才のときの定期健康診断で副腎腫瘍が発見されました。その後14才のときには、右後ろ足の前十字靭帯を断裂。シニアの年齢で疾患もあるなか手術を乗り越え、今もしっかりした足取りで散歩を楽しんでいます。
Tさんはもともと黒のラブラドール・レトリーバーが大好きで、現在オッティーちゃんと、6才になる同犬種のノアちゃんと暮らしています。
「オッティーは2010年、生後2カ月で和歌山県のブリーダーからわが家に来ました。イギリス系の血統を受け継いだどっしりした体格がとても魅力的なんです(笑)。オッティーはわが家に来てから元気に育っていきましたが、じつは2才のときに、最初の病気にかかったんです」とTさん。
Tさん宅に迎えたころのオッティーちゃん(生後2カ月)
ある日オッティーちゃんの片方の黒目の腫れをかかりつけ医が発見し、検査をしたところ、なかなかはっきりした病名が定まらなかったとのこと。Tさんは、その後何軒かの動物病院を回り、最後に訪れた目の専門病院でやっと「輪部メラノーマ」という診断が確定されました。幸い良性の眼球腫瘍だったため、早急な切除手術により完治することに。
左の眼球に腫瘍ができ、輪部メラノーマと診断され、切除手術を行う
「このときの経験から、愛犬が大きな病気にかかったときは、自分が納得できるまでセカンドオピニオンをいくつかの動物病院で受けることも大切だと感じました。わが家では、かかりつけ医の「アイいぬねこクリニック」に20年来お世話になっていますが、ここでは日ごろの健康管理を丁寧に行ってもらっています。セカンドオピニオンを受けようと思ったとき、最初はちょっと遠慮の気持ちがありましたが、かかりつけ医の岩月先生はとても理解のある先生で、信頼関係があるからこそできたと思います」とTさん。
11才のとき副腎腫瘍が発覚。投薬治療を行うことに
その後、オッティーちゃんはシニア期になるまで、大きな病気になることはありませんでしたが、11才のときに大学附属の動物病院で副腎の腫れが発見されました。CT検査を行ったところほかの臓器への転移はなかったことから、全身麻酔による生検は危険が伴うため避けることに。副腎の腫瘍は良性か悪性か不明でしたが、大きくならないかを検査しながら様子を見ることにしたそうです。さらに腎臓数値も悪かったことからTさんは、オッティーちゃんのフードを腎臓ケアの療法食に切り替えました。
2才くらいのときのオッティーちゃん。ドッグランで思いきり走り回って筋力も充分つけていました
次回は副腎腫瘍を抱えたオッティーちゃんを襲う、さらなる試練をレポートします。
出典/「いぬのきもち」2024年11月号『困難と闘う!……その先のしあわせへ』
写真/犬丸美絵
写真提供/Tさん
取材協力/アイいぬねこクリニック
取材・文/袴 もな
※掲載の情報は「いぬのきもち」2024年11月号発売時のものです。