愛犬の命を守るためには、万が一の事態を想定して、備えておくことが大切です。
そこで今回は、夏に起こりうる災害のなかから「交通渋滞」と「ゲリラ豪雨」を例にあげ、正しい対処法や必要な備えなどについて、災害時のペット問題にも取り組む獣医師の大下勲先生に詳しく教えていただきました。
車で移動中に渋滞に巻き込まれたら?
夏休み、愛犬と車に乗って少しお出かけするつもりが、渋滞に巻き込まれて身動きの取れない状態になり、愛犬の呼吸も少しずつ荒くなってしまった……というケースではどうすればよいのでしょうか。
できるだけ体を冷やしながら、いちばん近い場所で降りる
車内は窓の外からの直射日光やエアコンによる乾燥で熱がこもりやすいうえ、できる対処も限られます。高速道路で移動中なら、最寄りのSAに立ち寄るか、いちばん近い出口で降りるなど、早急に涼しい場所で休憩をとるようにしましょう。
愛犬のために知っておきたい「渋滞への備え」
車にサンシェイドをつけると直射日光や車内の温度上昇予防に 参考・写真/「いぬのきもち」2025年7月号『熱中症はもちろん! 災害から愛犬の命を守る 夏のサバイバル術』
どんなに短い移動時間でも、暑さ対策グッズは車に常備しましょう。たとえば、水や保冷剤、氷入りの魔法瓶、凍らせた水のペットボトルなどをクーラーボックスに入れて備えておくと安心です。
また、愛犬がいる側の窓にサンシェイドをつけると、直射日光や車内の温度上昇予防に役立ちます。
渋滞を避けるための工夫も取り入れて
酷暑のなかでの車移動は、愛犬の体へ負担をかけます。できれば30分ごとなどこまめに休憩をとり、ゆとりある運転計画を立てて渋滞に巻き込まれる確率を減らしましょう。
また、夏は帰省などで渋滞が発生しやすいうえ、交通事故などで通行止めが発生するケースも。出かける前に道路交通状況を調べておき、渋滞を避けるようにしましょう。
愛犬の散歩中、ゲリラ豪雨に見舞われたら?
近年の夏は、いわゆる「ゲリラ豪雨」に襲われることが多くなっています。天気予報では降らないはずの大雨が散歩中に降ってきたら、どうすればよいのでしょうか。
付近の建物の中に抱っこで急いで退避する
ゲリラ豪雨をもたらす発達した積乱雲は、雷なども引き起こすことがあります。通り雨だからと油断はせず、小型犬は抱っこで早急に建物内へ退避を。高い木の近くは落雷の危険があるため、2m以上は離れてください。
愛犬のために知っておきたい「ゲリラ豪雨への備え」
参考・写真/「いぬのきもち」2025年7月号『熱中症はもちろん! 災害から愛犬の命を守る 夏のサバイバル術』
ふだん散歩に利用しているルート内で、緊急時の退避場所を調べておきましょう。また、雷が鳴っていると愛犬が恐怖でパニックを起こし、退避に時間がかかったり脱走したりする危険があるので、雷の音に慣れさせる練習をしておくとよいですね。
ゲリラ豪雨を避けるためには
気象予報は技術の発展で精度が高まってきていますが、現状では正確に予想できる精度の限界は3時間といわれています。そのため、出かける3時間前からこまめに雨雲レーダーを見ておき、悪天候が予想される場合は外出を控えましょう。
なお、震災で津波被害を受けた犬では、首輪の下の皮膚がぬれたままになり、皮膚炎を発症したケースも。散歩で雨にぬれたあとは、必ず首輪を外し全身くまなく拭いてあげるようにしましょう。
「もしも災害が起こったら」という想像力が愛犬の命を守ります。ぜひ参考にしてみてくださいね。
お話を伺った先生/大下勲先生(大下動物病院院長 公益社団法人日本獣医師会危機管理室室員 大阪VMAT(獣医療支援チーム)副隊長)
参考・写真/「いぬのきもち」2025年7月号『熱中症はもちろん! 災害から愛犬の命を守る 夏のサバイバル術』
文/長谷部サチ
※一部写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性がない場合もあります。