犬の問題行動には、飼い主さんの接し方などに原因があるのかもしれません。今回は、犬の問題行動を引き起こしやすい飼い主さんの接し方のなかから、愛犬に完璧を求めすぎる「功を急ぐ」タイプと、放任主義すぎる「放し飼い」タイプを取り上げ、獣医師の藤本聖香先生にお話を伺いました。
問題行動の原因は飼い主さん? 愛犬を“ダメ”にする人のチェックリスト
愛犬のためにしている行動が、実は逆効果になっているかも……。まずは、次の項目に当てはまるものはないか、チェックしてみましょう。
完璧を求めすぎ!「功を急ぐ」タイプのチェックリスト
- 犬に関する情報収集に余念がない
- しつけに熱心で、あれもこれも実践している
- 自分のいうことに愛犬がすぐ従わないと焦る
- ほかの犬と比べて、愛犬のことを“できないコ”だと思っている
放任主義すぎ!「放し飼い」タイプのチェックリスト
- 犬は犬らしく、本能のまま過ごすことこそが幸せだと思う
- 愛犬にはやりたいようになんでも自由にされている
- 「犬は犬、人の社会のルールは知らなくていい」という考え方だ
- 無理なしつけは不要だと思っている
上記の項目に当てはまるものが多いほど、愛犬を“ダメ”にする飼い主さんの傾向が強いといえます。
では、「功を急ぐ」タイプと「放し飼い」タイプの飼い主さんの特徴について、さらに詳しくみていきましょう。
「功を急ぐ」タイプの飼い主さんの特徴
このタイプの飼い主さんは結果がすべて。飼い主さんが求めるレベルにいちはやく到達することを望みますが、愛犬ができないと焦り、完璧にできない愛犬に不甲斐なさを感じてドツボへ……。愛犬も飼い主さんが何を求めているのかわからず大混乱。わからないことだらけの状況に、動揺して慌ててしまうでしょう。
このタイプによくある「愛犬を“ダメ”にする行動」はこれ!
このタイプの飼い主さんは、できないことばかりに目がいき、いら立ちから「ダメ!」「これもできないの?」などと強い口調で叱りがち。愛犬が“完璧”を達成しない限り評価しないので、できないことだらけになるのは当たり前です。強い口調で叱られることが多くなると、愛犬は自信も失くしてしまうでしょう。
◆改善POINT
「結果」ではなく「過程」に注目すれば、毎日少しずつ前進しています。しっかりその成長をほめてあげれば、愛犬の自信になるうえ、やる気もアップするでしょう。
「放し飼い」タイプの飼い主さんの特徴
犬は犬らしく、本能のまま過ごすことが幸せだと思っているタイプ。その結果、愛犬の社会化が進まず、いつまでも人社会になじめません。警戒心が高まるばかりで、アウトローな犬まっしぐらでしょう。まわりの人や犬から怖がられ、“悪者”にもなりかねないので注意が必要です。
このタイプによくある「愛犬を“ダメ”にする行動」はこれ!
このタイプ飼い主さんは、人社会のルールをまったく教えないケースが。人のエゴのように思って教えていないのかもしれませんが、きちんと教えてあげないと犬はわかりません。いつまでたっても人の社会に慣れず、自身を守るために攻撃的になるおそれがあります。
◆改善POINT
人社会になじめるようにするには社会化がマストです。成犬の場合は時間がかかりますが、焦らずに少しずつ取り組みましょう。専門家に相談するのもひとつの手ですよ。
飼い主さんが「愛犬のため」と思ってしている行動も、逆効果になることがあります。思い当たる節がある飼い主さんは、愛犬にとって本当に大切なことが何か、今一度見つめ直してみてくださいね。
お話を伺った先生/藤本聖香先生(獣医師 英国APDT認定ペットドッグトレーナー)
参考/「いぬのきもち」2023年12月号『ワガママ・臆病・ビビリetc.は、犬のせいじゃないかも 愛犬をダメにする飼い主さんってこんな人!』
文/柏田ゆき
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。