犬と暮らしていると、人の気持ちに置き換えて「こんなふうに思っているのかな?」と思うことってありまよね。実際に『いぬのきもち』読者さんが感じた疑問を、動物行動学にくわしい獣医学博士の増田宏司先生が判定してくれました。
犬に「慰める」気持ちはある?
「元気がないとき、そばに来て寄り添ってきて、手や顔をなめてきます」
(愛知県 S.K.さん)
イラスト/二階堂ちはる
【ある】犬の慰める気持ちについて解明が進んでいます
以前から、見知らぬ人であっても、犬の前で泣きまねをすると犬が寄ってきて慰めるような行動をとる傾向があることは研究で証明されていました。さらに近年では、行動だけでなく犬に慰める気持ちがあるとした研究結果をまとめた本が出版されています。慰めの気持ちからしているといえるでしょう。
犬に「仲裁する」気持ちはある?
「夫に文句を言っていると、私たちの間に座ります」
(栃木県 K.Y.さん)
【ある】いつもの雰囲気に戻すために間を取りもとうとします
犬は、空気を読む能力にすぐれ、いつもと異なる雰囲気に敏感です。そして、いつもと異なることは不安なので元に戻そうとするため、例のようにケンカで不穏な雰囲気を察すると間を取りもつような行動に出ることがあります。
犬に「やきもち」の気持ちはある?
「夫婦で手をつなぐと吠えて遮ろうとします」
(愛知県 H.T.さん)
イラスト/二階堂ちはる
【ある】犬のやきもちは、海外の研究でも明らかに!
海外の研究で、犬も複雑なやきもちの感情をもつことが明らかになっています。このケースでは、「仲間はずれになっている」「どちらか一方の飼い主さんを取られたくない」といったジェラシーから邪魔をしている可能性が。
犬に「ごまかす」気持ちはある?
「トイレシーツを噛みちぎるなどイタズラが見つかったとき、瞬時にお行儀よくしてポーカーフェイスになります」
(東京都 O.F.さん)
【ない】意図をもって、ごまかそうとすることはないでしょう
結果として他者がごまかされることはあっても、犬が意図的にごまかそうとすることはないでしょう。例のケースは、ふだんと異なる飼い主さんの様子に身構えているのでしょう。「こうすればいつもの飼い主さんに戻る」と学習している可能性もあります。
犬に「反省」の気持ちはある?
「留守中、トイレに失敗すると熱烈なお出迎えがなく、隅で暗くどんよりしています」
(東京都 K.C.さん)
イラスト/二階堂ちはる
【ない】他者に対して反省するまでのことはないでしょう
犬にも悪いことをしたという自覚はあるかもしれませんが、他者に対して申し訳ないと反省するまでの気持ちはないでしょう。このケースの場合、「叱られるかも」「怖い思いをするかも」という不安や恐怖の気持ちがありそうです。
いかがでしたか? 増田先生によると、犬には人が体調が悪いときに「気づかう」気持ちもあるのだそう。なんだかますます愛犬が愛おしくなっちゃいますよね!
お話を伺った先生/獣医師、博士(獣医学)、東京農業大学農学部動物科学科(動物行動学研究室) 増田宏司先生
参考/「いぬのきもち」2024年1月号『この気持ち、犬にもある? ない?』
イラスト/三階堂ちはる
文/いぬのきもち編集室
※犬の気持ちについては諸説あります。この記事では、増田先生の見解をもとに編集室で構成し、紹介しています。記事のジャッジは、「ある」か「ない」のどちらの割合が多いかで決めています。