散歩やお世話のときによく見られる犬の拒否。困りつつもかわいいと思っている飼い主さんが多いようです。今回は、動物行動学にくわしい獣医学博士の増田宏司先生の解説とともに、散歩でよくみられる「通りたくない!」「動きたくない!」〝拒否犬〞たちを紹介します!
人の子どもの「イヤイヤ期」の姿と似ている !?
犬の拒否は、ストレートな表現が多く、人の子どもの2歳前後の「イヤイヤ期」の姿と似ています。感情面に関しても嫌の気持ちだけでなく、要求の気持ちもあるなど、子どもと同様に犬の気持ちもやや複雑でしょう。言葉を話せないからこその多様な拒否があるのも注目です。
【通りたくない編】特定の場所に来ると引っ張り合いっこ拒否!
「初めて通ろうとしたときから、なぜかこの場所を極度に嫌がり……。毎度、綱引き状態が繰り広げられます」埼玉県 K.T.さん 小太郎くん(オス・3才/4.8kg /ミックス/人なつっこい)
【通りたくない編】階段に近づくとへっぴり腰拒否!
「自宅玄関の階段を上ることが苦手なOREO。近づくとへっぴり腰でストップします。双子のMOCHAは平気なんですけど……」東京都 M.K.さん OREOくん(オス・2才/6.8㎏/ミニチュア・シュナウザー/甘えん坊でイタズラっコ)
苦手を訴えているので無理に通らなくても
通りたくないのは、恐怖や不安などなんらかの理由で苦手意識があるのでしょう。通らなくてもいい場所なら無理に通らなくても。どうしても通る必要があるなら、日数をかけて「大丈夫だよ」などと声をかけながら徐々に慣れさせて。(増田先生)
【動きたくない編】とどまりたい場所で横向き寝拒否!
「『まったりしたい』『友達犬に会いたい』ときにしているようです。リアンがやり始めてあずきもやるように」北海道 Y.S.さん リアンちゃん(メス・7才/8.8㎏/柴/マイペース)、あずきちゃん(メス・6才/26.0㎏/ミックス/賢い)
「動きたくない」拒否はさまざまな理由が
動きたくない気持ちには、「疲れた」「抱っこしてほしい」「ここにいたい」「注目してほしい」などさまざまな理由があります。頻繁に起こりがちなので困り果てている飼い主さんもいるかと。「オイデ」で、その場から立ち上がったり移動できたりするように練習してみるといいでしょう。ちなみに、同居犬が拒否行動をして要求が通っていると、それを学習してまねることはありえます!(増田先生)
いかがでしたか? 拒否する姿もかわいいですが、長時間となると困ってしまうことも。愛犬が動き出すスイッチになる「オイデ」などのしつけも練習しておきましょう!
お話を伺った先生/獣医師。博士(獣医学)。東京農業大学農学部動物科学科(動物行動学研究室)教授 増田宏司先生
参考/「いぬのきもち」2024年2月号『あの手この手で断固拒否する犬たち』
文/いぬのきもち編集室