愛犬との生活を楽しむ中で「もう1頭愛犬が増えたら、もっと楽しいかもしれない」と思ったことがある飼い主さんも多いはず。しかし、ただ楽しそうだからという理由だけで飼育頭数を増やしてしまうのは、愛犬のためにも飼い主さんのためにもよくありません。
そこで今回は、2頭目を迎えるために考えておきたい、飼育環境や必要なお金などのリアルなことを「スタディ・ドッグ・スクール」代表の鹿野正顕先生に伺いました。
どういう環境が必要?
犬も人と同じように、他者と一定の距離「パーソナルディスタンス」を保ちたいという欲求があります。2頭を一緒に飼育しているからと、ベッドやサークルなどを共有させてしまうと、落ち着くことができずにストレスになるケースも。
愛犬それぞれに専用の居場所を設置するのが多頭飼育の基本なので、2頭分のベッドやサークルを置くスペースが確保できるかどうかをあらかじめ考えましょう。
お金はどのくらい必要?
犬用のアイテムは、犬ごとに専用のものを用意する必要があります。他にも、食費、医療費、ワクチン代、トリミング代なども別途かかってくるので、2頭飼育するのならその費用はおおよそ2倍です。長い目で見ると、金銭的な負担はかなり増えるといっていいでしょう。
お世話の時間はどう変わる?
散歩やしつけ、お手入れなど、犬にかかる時間もお金と同じく2倍になると考えてください。2頭を一緒に散歩しながら引っ張りグセを修正するようなしつけをするのは難しいので、散歩のルールを教えたりそのほかのしつけをしたりする際は、基本的に1対1で行わなければならないためです。
また、どちらかの吠えグセなどをもう1頭がまねして、問題行動が悪化するケースもあります。
先住犬との関係も重要!
先住犬の性格によっては、2頭飼い自体が向かない場合もあります。例えば、飼い主さんにべったりで甘えん坊な犬は、焼きもちから新入り犬に攻撃的な行動をとりがちです。また、ポメラニアン、柴、ペキニーズなどの警戒心が強めの犬種は、新入り犬を受け入れるのに時間がかかる傾向にあります。
ほかにも以下のような性格の犬は、1頭だけで飼育したほうが幸せに暮らせるかもしれません。
・ほかの犬が苦手
・ものすごくビビリ
・ハイシニア犬
・ムダ吠えや引っ張りグセなどの問題行動が多い
2頭目を迎える前に、今いる愛犬のタイプをしっかりと把握することが重要です。
どんな犬を迎えたらいい?
子犬はまだこだわりや執着するものが少ないため、先住犬と争わずにストレスなく迎え入れることができる傾向があります。
成犬は性格がある程度把握できるため、先住犬の性格とのマッチングがしやすいのがメリットです。
2頭目を迎え入れるためには、飼育環境や飼育費用、お世話の時間など、クリアにしておかなければならないことがたくさんあります。先住犬も新入り犬も幸せにできるのかどうかをしっかりと考えていきましょう。
お話を伺った先生/鹿野正顕先生(「スタディ・ドッグ・スクール」代表)
参考/「いぬのきもち」2024年6月号『いぬのきもち22周年特別企画 「いつかはもう1頭」をリアルに考えてみました 2頭目ってどうやって迎えるの?』
文/東里奈
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性がない場合もあります。