シニア期にあらわれる変化を正しく理解し、それに合わせたケアを取り入れることは、愛犬の老化スピードを少しでも遅らせることにつながります。老いが顕著になってからのシニア期は、前期・中期・後期に分けるとイメージしやすいでしょう。
そこで今回は、犬のシニア中期・後期を取り上げ、その特徴やお世話のコツなどについて、獣医師の佐々木彩子先生に解説していただきました。
犬のシニア中期とは?
シニア中期は食べていても筋肉が落ち始めて、体がやせてくる世代。体内の水分は筋肉によってキープされているので、筋肉量が減ると体が乾きやすくなります。また水分量が減ることで、とくに足先などの体の末端で血行不良を起こしやすくなるでしょう。
■年齢の目安:小・中型犬は14~15才頃(大きめの中型犬は12~13才頃)、大型犬なら10~10.5才頃。
シニア中期のサイン
次のような特徴が見られたら、シニア中期のサインと考えてよいでしょう。
鼻が乾きやすくなる/目ヤニが出やすくなる/皮膚がベタベタするようになる
これらのサインは、いずれも体内の水分量低下が原因。うるおいが減ったので表面が乾かないように、目ヤニや皮脂が分泌されています。同じ理由で、肉球が乾きやすくなることも。
ほかの犬に興味を示さなくなる
ほかの犬への興味・関心が薄れて、散歩ですれ違っても吠えなくなります。また、相手の吠え声に反応しないのは、興味が薄れることに加えて、聴覚の衰えも考えられるでしょう。
伸びをしなくなる
寝起きにしていた伸びをしなくなります。寝る時間が増えたのにもかかわらず伸びをしなくなるので、体がこわばらないようにマッサージをしてあげると◎
腰まわりが細くなる/腰が下がり気味になる
筋肉の衰えは、お尻や腰まわり、後ろ足から見られることが多いです。いつも上がっていたしっぽが下がり気味になることも。
シニア中期の老化スピードをゆるやかにするコツ
シニア中期では、以下のお世話などを取り入れてみましょう。
疲れない程度に散歩して、しっかり水分もとらせる
歩けるうちは散歩に連れ出しましょう。足腰が鍛えられるだけでなく、動くことで水を積極的に飲むようになります。さらに、フードにスープをかけるなど、しっかり水分をとらせて体内の乾燥を防ぎましょう。
たんぱく質の過剰摂取を控える
筋肉が減るならたんぱく質を!と思いがちですが、それはNG。中期以降はたんぱく質の消化吸収能力が落ちるため、過剰摂取は体の負担に。おやつのジャーキーや肉のトッピングは控え、散歩で体を鍛えて筋肉のキープを。
うるおい効果のあるクコの実+ナツメ湯を飲ませてみる
クコの実とナツメは漢方薬の材料で、うるおいをもたらすのに役立つとされています。これらを湯に浸し、湯が完全に冷めたら実は取り出して、冷めた湯だけ飲ませてみて。クコの実5粒+ナツメ1/2個をマグカップに入れ、湯を注ぐと作りやすいです。
犬のシニア後期とは?
シニア後期は、中期に続き筋肉量が落ちてくる世代で、足腰の衰え方によっては自立できなくなったり、寝たきりになったりする場合も。そうなると自分で排せつすることも難しくなり、犬によっては夜鳴きや徘徊といった認知症の症状があらわれます。
■年齢の目安:小・中型犬は16才頃~(大きめの中型犬は14才頃~)、大型犬なら11才頃~。
シニア後期のサイン
次のような特徴が見られたら、シニア後期のサインです。
立ったり歩いたり、トイレをしたりする際によろける/体を“ブルブル”しなくなる/整ったフセやオスワリの姿勢をとれなくなる
いずれも足腰の筋肉が衰えて体を支え続けることが難しくなるために起きます。立っているときなら、転ばないように飼い主さんが手で支えてあげるか、散歩なら介助用ハーネスで支えてあげるのも一手です。
粗相(そそう)が増える
加齢で膀胱の筋肉が弱ることなどが原因で頻尿になり、それに伴いあちこちでオシッコをしてしまうように。トイレを複数箇所に置いたり、おむつを履かせたりして対処するとよいでしょう。
全身がやせて背中や胸、腰、頭上などが骨張ってくる
筋肉の減少が進み、足腰だけでなく背中や胸、頭などもやせて骨張ってきます。無理は禁物ですが、やせてきても日々の散歩は大切。それ以上筋肉が減らないように歩いて、体を整えるようにしましょう。
シニア後期の老化スピードをゆるやかにするコツ
シニア後期では、以下のお世話などを取り入れてみましょう。
食欲が出ないとき、食べてもやせてしまうときは「おかゆ」を与えてみる
この世代は食欲がわかない日も出てきます。食べ物を制限される病気がないのなら、「おかゆ」を与えてみて。米粒をしっかりつぶせば消化吸収もよくなり、良質な炭水化物を摂取できます。
1日の食事回数を2~3回に分ける
消化吸収がかなり落ちる世代なので、1回にたくさんのゴハンを与えると体に負担に。1日1~2回だった食事を2~3回に分けて、1回あたりの食事量を減らすことで消化器官にかかる負担を減らしましょう。
自力で歩けなくなったら車いすを利用する
自力で歩けなくなるほど足腰が弱ってしまったら、車いすを利用するのもよいでしょう。立った姿勢で歩けると、それだけで犬は自信がつき、生きる活力につながります。
愛犬の健康長寿のために、犬のシニア期について正しく理解することが大切。参考にしてみてくださいね。
お話を伺った先生/佐々木彩子先生(キュティア老犬クリニック獣医師)
参考/「いぬのきもち」2025年11月号『長ーく元気でいてほしいから知っておきたい!「シニア期」っていつから?』
文/長谷部サチ
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性がない場合もあります。