人と犬がともに過ごしてきた歴史は約3万年――。犬は人との付き合いがもっとも長い動物といわれ、古くからその高い身体能力や鋭い五感などを活かし、人の暮らしを支えてくれています。そこで今回は、数ある犬のすぐれた能力の中から、犬の“心”が持っている4つの力に注目してみました。
飼い主さんの元気がないことを感じ取る「共感力」
犬は飼い主さんの行動や表情をよく観察しているので、飼い主さんの変化にはとても敏感です。飼い主さんの具合が悪いときには、いつもと様子が違うことを察知して、そばに寄り添ったり、やさしく舐めたりすることがあるでしょう。
この行動は、弱っている犬がいたら仲間で寄り添い、温めてあげていた野生時代の名残だと考えられています。感情的な共感ではありませんが、本能的に共感することによって、飼い主さんのことをケアしようとしているのです。
病気の人を元気にする「セラピー能力」
十分に人慣れした犬とふれあうことで、人は体をリラックスに導く「ドーパミン」が分泌されたり、血圧が下がったりするなどの生理的効果があることがわかっています。また、歩行困難だった高齢者がセラピードッグに誘われるようにベッドを離れ、一緒に散歩ができるようになるまで回復したという事例も。
このような犬のセラピー能力は、高齢者福祉の世界でも注目されているようです。
目の動きや態度で人の心を読み取る「観察力」
犬は人の目や体の動きをよく観察し、自分の敵かどうかを判断するなど、人の心を読み取ることができます。たとえば、犬が苦手な人が初対面の犬に激しく吠えられる場合は、犬がその人の目の動きや態度から「犬が苦手」という気持ちを読み取り、“敵”と判断したのかもしれません。
よく「犬は相手が犬嫌いなのか、犬好きなのかわかる」といわれますが、このような犬の観察力が関係しているといえそうですね。
情緒が安定し、人に当たらない「適応能力」
犬は古くから猟犬や牧羊犬などとして人の暮らしを支え、その中で、人と暮らすことに順応してきたといえます。
多くの動物が人に触られると本能的に噛みついたり、気分によって人に攻撃的になったりすることがある一方で、飼い主さんとの信頼関係が構築された家庭犬は、情緒が安定しているため人を攻撃することは非常にまれです。
動物として考えると、このような犬の適応能力はとても珍しいものといえるでしょう。
このように、犬の“心”が持つさまざまな力は、ときに人の心を癒し、生きる「喜び」や「希望」をも与えてくれています。改めて犬の能力のすばらしさを知ると、愛犬をもっと大切にしたくなりますね!
参考/「いぬのきもち」2016年4月号『驚きの能力を徹底解剖!犬ってやっぱりココがスゴイ!!』(監修:哺乳類学者 川崎市環境影響評価審議会委員 日本動物科学研究所所長 今泉忠明先生)
文/ハセベサチコ
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。