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大吉に遊んでもらっている?【穴澤賢の犬のはなし】

先日、彼らのためを思って動物病院に連れて行ったら奈落の底に落とされたような顔をされたので、翌週は山へ行くことに。冬の山は空気がキンとしていて気持ちいいが、朝夕の本気の冷え込みや路面凍結の心配もあるため、これからの季節が楽しみだ。山の家がある標高1500メートルあたりは、真夏でもエアコンがいらないほど涼しいので、犬は特に快適だろう。
大吉と福助も朝からテンション高く、散歩から帰ってからもしばらくドッグランで遊んでいる。砂浜を散歩しているときのやる気のない態度とはえらい違いだ。そんなに遊びたいのなら自分たちだけで好きにすればいいのに、なぜか見られてないと楽しくないらしく、いつも私が「見ている役」で付き合っている。
そして、山の家のドッグランでは、もうひとつ謎なことがある。大吉はボール遊びがしたいらしく、ボールをくわえて持ってくる。が、持ってくるのは初回だけで、私が投げたボールをキャッチして、斜面を転がして戻してくるのだ。
転がってきたボールを私が拾ってまた投げる。すると、そのボールをくわえてまた転がす。普通ボール遊びといえば、投げたボールを走って拾いに行き、くわえて戻ってくる。ところが大吉は、さっと拾って、パッと放す。省エネすぎるだろう。それの何が楽しいんだろう。延々とそれを繰り返す。
どうも大吉は斜面の起伏を見てどう転がっていくかも計算しているようで、なぜかほとんど毎回ボールが私の足元にコロコロと転がってくる。そして私がそれを拾ってまた投げるよう目で催促する。これは言葉で説明するより動画を見てもらった方がわかりやすいと思い、少し前にインスタグラムにアップしてみた。
もう一度書くが、この遊びのいったい何が楽しいのだろう。もしかして、遊んであげていると思っているのは私の勘違いで、大吉は私の遊びに付き合ってあげているという感覚なのだろうか?そんなこと頼んでないんだが。それはさておき、撮った動画を見てみると、大吉と私をよそにひとりで黄昏れている福助に気が付いた。思わず「お前、何やってんねん……」と突っ込んだ。



プロフィール
穴澤 賢(あなざわ まさる)
1971年大阪生まれ。2005年、愛犬との日常をつづったブログ「富士丸な日々」が話題となり、その後エッセイやコラムを執筆するようになる。著書に『ひとりと一匹』(小学館文庫)、自ら選曲したコンピレーションアルバムとエッセイをまとめたCDブック『Another Side Of Music』(ワーナーミュージック・ジャパン)、愛犬の死から一年後の心境を語った『またね、富士丸。』(世界文化社)、本連載をまとめた『また、犬と暮らして』(世界文化社)などがある。2015年、長年犬と暮らした経験から「DeLoreans」というブランドを立ち上げる。

ブログ「Another Days」
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大吉(2011年8月17日生まれ・オス)
茨城県で放し飼いの白い犬(父)とある家庭の茶色い犬(母)の間に生まれる。飼い主募集サイトを経て穴澤家へ。敬語を話す小学生のように妙に大人びた性格。雷と花火と暴走族が苦手。せっかく海の近くに引っ越したのに、海も砂浜もそんなに好きではないもよう。

福助(2014年1月11日生まれ・オス)
千葉県の施設から保護団体を経て穴澤家へ。捕獲されたときのトラウマから当初は人間を怖がり逃げまどっていたが、約2カ月ほどでただの破壊王へ。ついでにデブになる。運動神経はかなりいいので、家では「動けるデブ」と呼ばれている。
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