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秋の長い散歩の風景【穴澤賢の犬のはなし】

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先代犬の「富士丸」と犬との暮らしと別れを経験したライターの穴澤賢が、
数年を経て現在は「大吉」と「福助」(どちらもミックス)との暮らしで
感じた何気ないことを語ります。

ここ最近、夕方の散歩は少し長めに歩いている。家で仕事していることもあり、自分があまりにも運動不足なことに危機感を抱いたからだ。いつもはすぐ近くの砂浜まで行って終わりだが、違う方向に向かう。夏は暑いし冬は寒いから嫌だが、この時期はのんびり散歩するのにちょうどいい。

いつもと違う散歩の景色

近所には片瀬川が流れており、川沿いの道は静かで趣がある。船が停まっていたり、川を覗くと鯉が泳いでいたり、おじさんが鴨にエサをあげていたりして、なんとなく時間がゆっくり流れているような気がする。

川沿いを上流へ向かってしばらく歩いたら、橋を渡って折り返す。そして今度は下流に向かう。川を覗くと、また鯉がいる。なんでこんなに鯉が多いのだろう。

以前、大雨の後で増水したときに、海がすぐそこの河口で大量の鯉がいるのを見たことがある。流れも早かったし、きっと彼らは海に流されたに違いない。だとしたらここにいる鯉はどこから来たんだろう。同じように上流から流されてきたのか。と、答えの見えないことをぼんやり考えながら歩く。

うれしい飼い主と、そうでもない大福

そうこうしているうちに、江ノ島が見えてくる。この右側には小田急電鉄の片瀬江ノ島駅があり、近年リニューアルしたのだが、大規模な工事をしていたわりにはあまり変わっていない気がする竜宮城が出迎えてくれる。

この前の橋を渡り国道134号線をくぐるトンネルを抜けると、すぐそこに海があり、その向こうが江ノ島となる。

江ノ島方面には行かずに道を渡ると、いつも散歩している東浜に出る。よく天気予報の背景に中継画像が流れているあの浜辺だ。ここまでの道のりでだいたい1時間くらい歩いたことになる。いい運動になるし、気分転換にもなる。

普通の犬なら散歩が大好きなはずだが、大吉と福助はどうかというと、全然喜んでない。大吉はともかく、福助はずっと後ろを嫌々付いてくるだけで、東浜に着いたときはちょっとお疲れのようす。彼らは山の散歩はよく歩くが、腰越の散歩はこの前書いたように砂浜で用だけ足したらすぐに帰りたいらしい。

そして、この日もやはり砂浜に来るまではウンチしなかった。で、着いて早々にウンチする。つまり、ただ単に遠回りしていただけということになる。彼らは砂浜でサッとして帰りたかっただけなのに。なんだか申し訳なかったね。



プロフィール
穴澤 賢(あなざわ まさる)
1971年大阪生まれ。2005年、愛犬との日常をつづったブログ「富士丸な日々」が話題となり、その後エッセイやコラムを執筆するようになる。著書に『ひとりと一匹』(小学館文庫)、自ら選曲したコンピレーションアルバムとエッセイをまとめたCDブック『Another Side Of Music』(ワーナーミュージック・ジャパン)、愛犬の死から一年後の心境を語った『またね、富士丸。』(世界文化社)、本連載をまとめた『また、犬と暮らして』(世界文化社)などがある。2015年、長年犬と暮らした経験から「DeLoreans」というブランドを立ち上げる。

ブログ「Another Days」
ツイッター
インスタグラム

大吉(2011年8月17日生まれ・オス)
茨城県で放し飼いの白い犬(父)とある家庭の茶色い犬(母)の間に生まれる。飼い主募集サイトを経て穴澤家へ。敬語を話す小学生のように妙に大人びた性格。雷と花火と暴走族が苦手。せっかく海の近くに引っ越したのに、海も砂浜もそんなに好きではないもよう。

福助(2014年1月11日生まれ・オス)
千葉県の施設から保護団体を経て穴澤家へ。捕獲されたときのトラウマから当初は人間を怖がり逃げまどっていたが、約2カ月ほどでただの破壊王へ。ついでにデブになる。運動神経はかなりいいので、家では「動けるデブ」と呼ばれている。

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