犬が好き
UP DATE
結局、叱らないで育てるにはどうすればいいのか②「窓の外に吠える犬の解決策」 |連載・西川文二の「犬ってホントは」vol.109
前回に続き、今回も、叱らずに困った行動を直すにはどうしたらいいかに関するお話。窓の外に向かって吠える犬の話を例に、西川先生がより具体的な解決法を提案します(編集部)。
「叱らないで育てるにはどうするか」
①犬は体験を学習していく
②犬は4つのパターンに基づく学習をしていく
ⓐ:結果的にいいことが起きた行動を習慣化していく
ⓑ:結果的に嫌なことが起きた行動は取らなくなる
Ⓒ:結果的にいいことが起きない行動は取らなくなる
ⓓ:結果的に嫌なことがなくなる行動を習慣化していく
③犬は前触れを理解する(何かの後に何が起きるか、何かの後に何をすれば何が起きるか、を理解できる)
前回は、①と②を簡単に説明。
習慣化されて困る(困っている)行動は②-ⓐか、②-ⓓのいずれかなので、まずはその見極めを行うこと。
その上で②-ⓐで習慣化している(習慣化する)行動に対しては、いいことを起こさないこと、加えて別の好ましい行動でいいことが起きることを伝えること、あるいはその行動を防げる好ましい行動を教えること。
②-ⓓで習慣化している(習慣化する)行動に対しては、その嫌なことに慣らすこと、その行動を防げる(その行動が起きない)好ましい行動を教えること。
という話をしました。
さて今回はその続きです。
体験できないようにするだけで問題解決になることも
②-ⓐなのか、②-ⓓなのか。外の犬は道を通過するだけです。ただ、吠えている犬からすれば、近づいてくる犬が吠えた結果いなくなることになります。
いなくなる=なくなる、何かがなくなることで行動を習慣化するのは、②-ⓓとなります。
②-ⓓは、その嫌なことに慣らすこと、その行動を防げる(その行動が起きない)好ましい行動を教えることでした。
すなわち、外を歩く犬に慣らすこと、あるいは外の犬に吠えることを防ぐ行動を教えるということです。
さてその前にまずやることがありました。その行動を体験させないようにすることです。
外を見て吠えているのであれば、外が見えないように工夫することです。犬が外の犬が見える高さまで、半透明のフィルムを貼ることです。
じつはそれだけで「問題が解決!」だったりもします。
オイデとマテ、その2つで行動が防げる
あとは、外を歩く犬の姿に慣らすか(追い払う必要のない存在にする)、あるいは外を見て吠える行動を防げる行動、それを教えることになります。
この場合は、まずは防げる行動を教えていくこととしましょう。
教えるのは、確実なオイデとマテです。
犬が外の犬の気配を感じて、窓に向かったらオイデで呼び戻す。
飼い主が部屋を出ていくときにはマテをかけ、戻ってくるまで同じ場所同じ姿勢で待てるようにする(=窓際に行くことが防げる)。
この2つが確実にできれば、問題は解決となります。
窓に向かった犬に、飼い主が気づくのが遅れることもあるでしょう。
それに対しては、前触れをわからなくする。これを行うことです。
前触れは、外の犬の気配
鑑札のカチャカチャいう音、犬の足音、あえぎ音などを耳にする、そのとき外の通りを見ると必ず犬がいた。
すなわち、そうした音が犬が窓の外に現れる前触れと、犬は体験上知っているわけです。
前触れとは、その後に必ず特定の何かが起きることから学習します。その前触れを、前触れではなくしていく。
どうするかというと、まずはその音を録音し、吠えない音量からフードを与え、吠えないことを確認しながら数日かけて音量を上げていく。そうやって犬の気配音に慣らす。そういうことです。
犬は音が聞こえてくる方向を判別できますから、可能なら窓の外に音源を置くことです。
鑑札のカチャカチャいう音、犬の足音、あえぎ声、を飼い主からフードがもらえる前触れに変えてしまえば、窓に突進することもなくなります。
体験をさせず、好ましい行動を教え、前触れに対する反応を変える。
ここまでできれば、フィルムをはがすことも可能です。
さてと、ここまでは②-ⓓで習慣化した行動の改善(叱ることを排除した方法)の一例でした。
②-ⓐで習慣化した行動の改善方法はまだ述べていません。その話は今回も大人の事情ということで次回へ、とあいなります。
(やっぱり2回でも終わらなかった)
西川文二氏 プロフィール
UP DATE