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意外と知らない、犬のしつけをする本当の理由|連載・西川文二の「犬ってホントは」vol.111

「いぬのきもちWEB MAGAZINE」が送る連載、家庭犬しつけインストラクター西川文二氏の「犬ってホントは」です。
犬のしつけは何のためにするのか、即答できますか? 犬をイイコに育てるためはもちろんですが、本当の答えはそれだけではないのです。その理由を人に置き換えて、西川先生がわかりやすく解説します(編集部)。

皆様、明けましておめでとうございます。
今年こそはコロナのやつが、どうにかなっていただければと願うところです。
そういえばコロナ禍において成人式というのは、どうなっているのでしょうか
成人式といえば時々ニュースになるのが、式典で大暴れする新成人たちの姿。
聞くに値しないつまらない話であろうと、演壇で少なくとも目上の誰かが祝辞などを述べている間ぐらい、じっと座っていられないものか(そもそもつまらない話を聞きたくないのであれば行かなければいいと思うのですが……)。
あの姿を見るにつけ、いつの時代も目上の者たちはこうつぶやく。
「しつけがまったくできていない」と。
ということで、今回は新年ということもあり改めてまして「しつけ」とは何か、を考えていきましょう。
コロナ退散! 一応神頼みもしておく
Can! Do! Pet Dog School

しつけとは

漢字で書くと躾、なんと「身を美しく」と記すのです。
漢字の由来を知りたくもなるのですがそれは置いておくとして、しつけとは人間なら「その子どもが将来、世の中でうまくやっていくため、周囲に迷惑をかけずに、日々幸せに暮らせるように、それに必要なルールやマナー、立ち振る舞いを身につけさせること」、そういえるのではないでしょうか。
そして、人間の場合は、第二次性徴期を迎えてそれほど遠くない時期に終了するべきもの。
そして、そして、しつけができていない第二次性徴期以降の人間を、世の中では不良といったりもする。
言い方を変えるというか、違った角度から見るというか、そういった大人にしないために存在するのが、しつけ。
そうなのです、ある意味しつけとは「予防」ということなのです。

犬のしつけとは

犬のしつけも同様。
その犬が将来、人間社会でうまくやっていくため、周囲に迷惑をかけずに、日々幸せに暮らせるように、それに必要なルールやマナー、立ち振る舞いを身につけさせること。そういえるわけです。
人間なら物心がつく頃、すなわち2〜3才から始めるというのが一般的でしょう。犬ならば、2カ月齢頃、すなわち飼い始めの日から始まる。実際、トイレのしつけは初回の排泄をどこでさせてしまうかで、その後大きな差が生じるわけです。
いつ終了するかも理想的には人間と同じ、第二次性徴期を迎えてそれほど遠くない時期(犬の場合は遅くても1才になる)までに終了するべきものです。
そして、人間のしつけが不良にしないための予防だとするのであれば、犬のしつけは、すなわち問題犬(困った行動を習慣化している犬)にしないための予防ということになる。
もちろん、適切なしつけをしなければすべての犬が問題犬になるというわけではありません。ただ、問題犬のすべては適切なしつけをしてこなかったから、といえる。
だからこそ、「予防」といえるわけです。
クレートトレーニングも犬を迎え入れた日から行うとうまくいく
Can! Do! Pet Dog School

ちなみに、しつけと訓練は違うもの

人間の場合、例えばお母さんが娘さんにしつけの一環として、洋服のたたみ方を教えるとする。
お父さんが夜帰ってきて、お母さんがその日のことをお父さんに話す。「今日ね、〇〇ちゃんと洋服のたたみ方の練習したんだ」と。
このとき「洋服のたたみ方の訓練をした」とは、決して言わない。
そうなのです、訓練には作業訓練とか避難訓練とか、日常とは一線を画す何かに使われる言葉。
一方しつけとは、先に記したようにその子が将来、周囲に迷惑をかけずに幸せな日々を過ごすために不可欠なことを教える、ということ。
以上からわかるように、しつけと訓練は、全く別物ということなのです。

「ところでそういうお前は成人式、おとなしくしていたのか」
という声が聞こえてくるような、こないような……。
実のところ、私、成人式に出ておりません。
聞くに値しないつまらない話は聞きたくないものでしてね。出なくて済む式典はなるべく出ない。大学の入学式も、卒業式にも出てないのですね、これが。
水難救助犬に必要なのは訓練。その内容も教え方も、しつけとは異なるもの
Can! Do! Pet Dog School
文/西川文二
写真/Can! Do! Pet Dog School提供
https://cando4115.com/

西川文二氏 プロフィール

公益社団法人日本動物病院協会(JAHA)認定家庭犬しつけインストラクター。東京・世田谷区のしつけスクール「Can! Do! Pet Dog School」代表。科学的理論に基づく愛犬のしつけ方を提案。犬の生態行動や心理的なアプローチについても造詣が深い。著書に『子犬の育て方・しつけ』(新星出版社)、『いぬのプーにおそわったこと~パートナードッグと運命の糸で結ばれた10年間 』(サイゾー)、最新の監修書に『はじめよう!トイプーぐらし』(西東社)など。パートナー・ドッグはダップくん(16才)、鉄三郎くん(12才)ともにオス/ミックス。
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