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犬と飼い主の「ミスマッチ」な組み合わせが増えている!?|連載・西川文二の「犬ってホントは」vol.138
今回は、犬を飼うときに重要な「マッチング」のお話。西川先生によると、お年寄りが運動量の多い犬を飼ったり、力の弱い人が大型犬を飼ったりする「ミスマッチング」が増えているそう。犬と飼い主さんの適正なマッチングについて考えます(編集部)。
私の若い頃にはなかったわけで、どうなのですかね? 危なかったり、怖かったりしないのでしょうか?
まぁ、マッチングアプリの話はいいとして、マッチングは重要です。
男女関係はもちろんですが、犬との生活を楽しむためにも、です。
いやいや、犬を飼う際の男女のマッチングではなく、飼い主とこれから迎え入れる犬とのマッチングが、です。
なんでこんな話をしているかというと、最近気になることのひとつに飼い主と犬とのマッチングがよろしくない、言うなればミスマッチングされているケースが、以前よりも多くなっているような気がするからです。
犬の適正譲渡において重要なマッチング
私は環境省が主催する動物適正譲渡講習会の講師を、過去数回務めています。
この講習会の対象は、動物愛護相談センターや保健所の職員や里親探しに関わる獣医師やボランティアの方たちなどです。
私が講師を務めたときの話のポイントは、以下の4つ。
①収容犬のケアとトレーニング
②適正評価
③マッチング
④飼い主教育など
マッチングは、「飼いたい犬」と「飼える犬」が同じとは限らないという考え方に基づきます。「飼える」とは、犬も幸せ、飼い主も幸せと、いう日々を送ることができるか、ということです。
マッチングができていないのは、「適正譲渡」ではなく単なる「譲渡」(適正な譲渡とはいえない)とも話しました。
マッチングには適正評価が不可欠
それをベースに、譲渡希望者の年齢、可処分所得、住居スペース、体力、ライフスタイルなどの情報と照らし合わせ、犬も幸せ、飼い主も幸せという組み合わせを行う。それが③のマッチングという作業です。
例えば、テリア系は見た目が小さくてかわいくとも、なかには大型犬並みの運動量を必要とする個体がいます。その場合は、大型犬を飼うのと同じ覚悟が必要となるということなのです。譲渡希望者の年齢や体格、ライフスタイルにマッチしているのか精査する必要があります。
大型犬に魅力を感じても30kgのオスが突進をしたら、まず女性では止めることは難しいでしょう。大型犬は費用もかかります。譲渡希望者の体力はもちろん、住居スペース、経済状況も考慮する必要があります。
無償有償は問わない「譲渡」
「譲渡」という本来の意味からすれば、ショップも上記①〜④を理解すべきといえるでしょう。
ショップからの譲渡においては、犬はパピーがほとんどですので、①の収容犬のケアとトレーニングに該当するのは、愛護法(動物愛護管理法)で定められた環境設定と可能な社会化を行うということになります。
②の適正評価とは、その犬がどういった性格で、どの程度大きくなるか、どの程度の運動量を必要とするか、といった情報を、明確に把握することです。
③は購入希望者の住居スペース、体力、ライフスタイル他の情報をできる限り聞き取ることです。
④の飼い主教育に該当するのは、前回のコラムで取り上げた「コンパニオン・ドッグに育てていくためには、社会化期からのトレーニングが重要」という情報とその場を提供することです。
「飼いたい犬」と「飼える犬」が同じとは限らない。
犬を手に入れたいとお考えの方は、まずはこれを理解することです。
まぁ、この考えをまず理解してもらうことが、飼い主教育の第一歩なのかもしれませんが……。
西川文二氏 プロフィール
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