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ずっと病気がちだった鉄三郎が13才の今、絶好調なワケ①|連載・西川文二の「犬ってホントは」vol.141
今回は、13才になった西川先生のパートナー・ドッグ、鉄三郎くんのお話。若いころからずっと病気がちだった鉄三郎くんが、シニアの今になって絶好調なのだとか。そんなことってあるのでしょうか? まずは数々の病歴を振り返ります。※病気の診断や治療に関しては鉄三郎くんの主治医によるものです。もし愛犬に同じ病気や似たような症状があった場合は、まずかかりつけの獣医師に診てもらってください(編集部)。
犬の13才は小型犬なら71歳、中型犬なら79歳(※1)といったところ。
さしずめ鉄は17kgの犬なので、人間なら75歳前後といったところでしょうか?
人間の場合、75歳といえば後期高齢者。男女ともに平均の健康寿命を超えている年齢で、衰えは隠せないといったところなのでしょうが、鉄の場合はその逆の印象。
心身ともに人生の、いや犬生の絶好調期が2年ほど前からやってきた、という感じなのです。
久しぶりに鉄に会う人は、毛吹きがよくなった、ひとまわり大きくなった感じ、表情が変わった(いい感じに)、と口にします。
さて、鉄はなぜに最近絶好調状態なのか。逆にいえば、なぜ2年前、11才まではそうではなかったのか。
誕生日も迎えたということで、今回はそんな鉄の話。
そんなこともあったのだなぁ……と読み進めていただければと。
フードを増やすとおなかを壊した鉄
成犬時には、2カ月齢のときの体重の3〜5倍になるのが一般的です。
ですので、鉄の場合は10kg程度に収まるかなと想像していたわけです。
それが、最終的には17kgまで大きくなりました。
おそらく、適正な成長を阻害する何かが(保護されるまでの栄養状態が悪い、感染症ほか病気など)、あったのでしょう。
わが家に来てからの、成長も順風満帆とはいきませんでした。
まず、骨格の成長に伴うほど、体重が増えていかなかったのです。
食べないわけではないのです。太らせようとフードを増やすと、すぐにおなかを壊したのです。
原因はわかりませんでした。

アトピー性皮膚炎に悩まされる
原因は不明。アトピーではないかということで、ステロイド他を処方され、様子を見ることとなりました。
口のまわりの炎症はおさまり、以降その部位には炎症は起きなかったのですが、脇の下や肘の内側の皮膚の炎症が目立つようになりました。
かゆいのでひっかく。ひっかくので炎症がひどくなる。
週1回の薬浴が欠かせなくなりました。炎症の悪化が見られると都度、ステロイドが処方されました。
皮膚のトラブルは他にもありました。
3才のころから、首の周囲の毛が少なくなっていきました。首輪のスレによるものではないことは歴然とわかる脱毛でした。
なぜか運動機能も衰えていきました。
それまでひょいと飛び乗っていた車のクレートに、飛び乗れなくなっていったのです。

甲状腺機能低下症だったことが判明
長い距離を歩かせると、鉄の足先が血だらけになるようになりました。
4才になってからの話です。何が起きていたかというと、前足を十分に上げられず爪の足の甲側部を引きずるようにして歩いていたのです。そのため爪の甲側が削れ出血が起きていた、ということです。
表情の変化も乏しくなっていきました。
ここに至って、ある病気を持っていることがわかりました。
その病気とは、甲状腺機能低下症です。
ネットで検索すればわかりますが、体重が増えるという特徴以外の症状はすべてが、振り返れば当てはまるのです。
甲状腺ホルモンを補う薬の投与を始めると、運動機能は回復していき、やがて被毛の状態もよくなっていきました。
ただ、ここ数年の絶好調状態ほどにはほど遠い、いまから思えばそんな感じでした。
首のまわりの脱毛は治まりましたが、脇の下の炎症は少しよくなった程度でした。
その後かゆみを抑える新しい薬が登場し、そのおかげでかき倒すことがなくなり、週1回の薬浴も月に1回で済むようになり、ステロイドのやっかいになることはなくなりました。
しかし今度はその両方の薬が欠かせなくなってしまったのです。
でも、かゆみを抑える薬の方は、あることをきっかけに不要になっていきます。そして、時を同じくして、鉄の絶好調人生、いや犬生が始まるのです。
さて、そのきっかけのあることとは……。
続きは次回のお楽しみということで、では。

写真/Can! Do! Pet Dog School提供
https://cando4115.com/
※1)人→犬への年齢換算はさまざまな考え方や算出方法がありますが、カナダの心理学者スタンレー・コレン氏に算出をもとに、西川先生が計算し直した年齢を記載しています。
西川文二氏 プロフィール
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