先代犬の「富士丸」と犬との暮らしと別れを経験したライターの穴澤賢が、
数年を経て現在は「大吉」と「福助」(どちらもミックス)との暮らしで
感じた何気ないことを語ります。
生活リズムは大切だが、何かと不規則になりがちだ。特に若いころは、夜ふかししてしまったり、夜遅くまで飲んだりしてしまう。すると翌朝起きるのがつらく、寝坊したりする。なのに、その日の夜も夜ふかししてしまい、だんだん睡眠時間が足りなくなり、休日に寝まくる。
不規則な生活リズムが当たり前だった若い時代
さらにリモートワークやフリーランスでずっと家にいていいことになると、生活リズムは乱れまくる。フリーライターやデザイナーの中には、夜がっつり仕事して昼ごろ起きるという人も結構いる。
私もかつて(20代)フリーターでバンドマンを目指していたころは、夜中まで飲んで昼ごろ起きることも多かったし、そのほうが「ミュージシャンっぽくてかっこいい」という気さえしていた。
月日は経ち、51歳になった現在はフリーライターで在宅ワーカーなのだが、サラリーマンより規則正しいのではないかと思う。仕事は月から金で、8時から19時ころまで仕事部屋にこもる(仕事しているかしていないかは置いといて)。残業もしない。徹夜なんて絶対しない。土日祝日は基本休み。根が真面目だからではない。どちらかといえば堕落した人間寄りだが、こんなに規則正しいのは、間違いなく犬がいるからだと思う。
富士丸と暮らし始めた30代のころも、夜中まで呑んだくれて朝なかなか起きられないことはあったが、散歩には行かなくてはならない。「早く起きて散歩行こうよ」という顔や態度で催促されるうち、次第に生活リズムが「矯正」されていったのだ。
犬と暮らすと規則正しくなる?
大吉と福助と暮らす現在も、その習慣は変わらない。夏場などは、「暑くなる前に行かないと!」と朝5時20分に目覚ましをかけて飛び起きていた。早起きするためには早く寝ないといけない。その結果、22時半くらいには寝る。ということは、夜中まで呑んだくれたりできない。
涼しくなったからもう5時台に起きなくてもいいが、それでも6時すぎには起きている。8時から仕事しようと逆算するとそうなるからだ。なのに、大吉と福助はなかなか起きてこない。5時台に起こしていたときだって「なんでこんなに朝早いの?」と迷惑そうな顔をしていた。
さらに山の家に来ると、ますます起きない。私が先に起きて、床掃除などしながら待ってもいっこうに降りてこない。7時すぎになって仕方なく「お前らー、そろそろ行くぞー」と何度も呼ぶと仕方なさそうな顔で降りてくる。
富士丸には催促され、大福には迷惑そうにされながらも、毎朝早く起きている。いずれにしても「絶対」散歩には行かなければならないからだ(外でしか用を足さないから)。今回は山の家で、私が起きて、彼らが降りてくるまでのリアルな画像をつけてみた。
というように、早く散歩に行きたくてウズウズして催促する犬も、起こさないといけないぐうたらな犬の場合も、結果的に彼らと暮らすと規則正しい生活リズムになると思われる。
きっと大福には「妙に早起きするやつ」と思われているんだろな。ま、いいけど。
プロフィール
穴澤 賢(あなざわ まさる)
1971年大阪生まれ。2005年、愛犬との日常をつづったブログ「富士丸な日々」が話題となり、その後エッセイやコラムを執筆するようになる。著書に『ひとりと一匹』(小学館文庫)、自ら選曲したコンピレーションアルバムとエッセイをまとめたCDブック『Another Side Of Music』(ワーナーミュージック・ジャパン)、愛犬の死から一年後の心境を語った『またね、富士丸。』(世界文化社)、本連載をまとめた『また、犬と暮らして』(世界文化社)などがある。2015年、長年犬と暮らした経験から
「DeLoreans」というブランドを立ち上げる。
ブログ「Another Days」
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大吉(2011年8月17日生まれ・オス)
茨城県で放し飼いの白い犬(父)とある家庭の茶色い犬(母)の間に生まれる。飼い主募集サイトを経て穴澤家へ。敬語を話す小学生のように妙に大人びた性格。雷と花火と暴走族が苦手。せっかく海の近くに引っ越したのに、海も砂浜もそんなに好きではないもよう。
福助(2014年1月11日生まれ・オス)
千葉県の施設から保護団体を経て穴澤家へ。捕獲されたときのトラウマから当初は人間を怖がり逃げまどっていたが、約2カ月ほどでただの破壊王へ。ついでにデブになる。運動神経はかなりいいので、家では「動けるデブ」と呼ばれている。