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「保護犬をつくらないために」飼い主さんへの啓蒙活動も行う「なないろ動物病院」

ここでは、犬と、犬を取り巻く社会がもっと幸せで素敵なものになるように活動している方々をレポートします。

今回は、開業以来多くの保護犬の命を救ってきた東京都の「なないろ動物病院」服部真澄院長の取り組みについて紹介します。

1回目の記事|保護犬たちに手厚い医療を提供し、譲渡まで行う「なないろ動物病院」の取り組み

病院の看板犬として活躍する愛犬コールくん

保護された頃のコールくん
保護された頃のコールくん
なないろ動物病院院長の服部真澄先生には現在、かけがえのないパートナーとして愛犬コールくんの存在があります。
 
コールくんは、2020年春、生後1カ月半のころ、多頭飼育崩壊現場からレスキューされ、3兄妹とともになないろ動物病院に来ました。子犬ということで、すぐに譲渡先が決まっていきましたが、コールくんだけがなぜか1頭残り、服部先生は何かの縁を感じたとのこと。
「コールは、足が大きく太かったので、これは20㎏前後の大きな犬に成長するかもと思ったんです。大きな犬は譲渡先が限られること、そして、体のサイズが大きければ将来、病院の『供血犬』として協力してもらえると思い、わが家に迎えることにしました」
今では20㎏超えのサイズに成長したコールくん。いつも元気いっぱいの看板犬です
今では20㎏超えのサイズに成長したコールくん。いつも元気いっぱいの看板犬です
『供血犬』とは、緊急の輸血が必要な犬のために、輸血に協力する犬のことです。人間のような血液バンクのない動物医療の現場では、輸血のためには、ほかの犬に血液を提供してもらわないといけません。
「緊急の輸血といっても、年に1〜2回あるくらいで、もちろん、コールの体調に支障のない量だけ提供してもらっています」
 
パートナーとして毎日先生とともに出勤しているコールくん。子犬のころは、服部家はハチャメチャに大変な毎日だったそう。

犬のイタズラを防ぐために、人間側が気をつけるべきこと

「じつは私自身、子犬から犬を育てるのは初めてで、楽しいのはもちろんでしたが『こんなに大変だったんだー』とよい勉強になりました(笑)。好奇心旺盛で食いしん坊なコールは、家のキッチンの食べ物を盗み食いする、家具を破壊するなどは日常茶飯事。そんなときは、犬を叱るのではなく、人間側が問題行動を防ぐ環境を家の中につくるべきなんです。子犬のころは、好奇心からイタズラをするのは正常な行動ですから」と話す服部先生。たまに「どうしたら愛犬のイタズラを止められますか?」といった相談が飼い主さんから寄せられると、「まずは、しっかり頭と体を使って発散させること。そして、犬がかじりそうなものは出しっぱなしにしない、入ってほしくない場所には柵を取りつけましょう」といったアドバイスをしています。
お松くんは、シニアで認知症だったため、なないろで余生を過ごすことに。ほかの飼い主さんが手作りの車いすを寄贈
お松くんは、シニアで認知症だったため、なないろで余生を過ごすことに。ほかの飼い主さんが手作りの車いすを寄贈
服部先生は、医療面のサポートだけでなく、『保護犬をつくらない』ための飼い主さんへの啓蒙活動も行っています。
「犬と暮らすためには、飼い主さん側がやるべきことがたくさんあるんです。かわいいから、癒されたいからという理由だけでなく、本当に終生責任をもって飼育できるのかを真剣に考えてもらいたいですね。犬を飼うということは、生活に制限もできるし、面倒なことも増えるし、出費も増える、それをクリアしたうえで癒しをくれるのです。また、犬と暮らす飼い主さんにも、しつけなど困ったことがあればいつでも相談に乗れるよう努めています」と服部先生。
劣悪な多頭飼育崩壊現場から保護された晴男くん。足腰が弱かったので、なないろで看取りをすることに
劣悪な多頭飼育崩壊現場から保護された晴男くん。足腰が弱かったので、なないろで看取りをすることに
次回はなないろ動物病院を卒業して、幸せをつかんだ犬たちを紹介します。

※保護犬の情報は2022年6月7日現在のものです。
出典/「いぬのきもち」2022年8月号『犬のために何ができるのだろうか』
写真/田尻光久
写真提供/なないろ動物病院
取材・文/袴 もな
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