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「心に傷を負った犬、超ビビリな犬」犬たちの心のケアをして500頭以上を譲渡するシェルターの取り組みとは

ここでは、犬と、犬を取り巻く社会がもっと幸せで素敵なものになるように活動している方々をレポートします。

今回は、都心に保護犬のシェルターを設立し、問題行動のある犬、疾患がある犬も大切にケアし、譲渡につなげるティアハイム コクアの取り組みについて紹介します。

原宿という多種多様な人々が集う街で、動物愛護の精神を広げる活動も

元はコンビニエンスストアだった物件を2022年夏に借りることができ、シェルターの規模も広くなったティアハイム コクア
元はコンビニエンスストアだった物件を2022年夏に借りることができ、シェルターの規模も広くなったティアハイム コクア
東京の原宿のにぎやかな通りから少し離れた場所に、ティアハイムコクア(以下コクア)のシェルターがあります。2棟に分かれたアットホームな雰囲気のシェルターには、約20頭の保護犬たちが犬同士の相性や性格別に収容され、ボランティアスタッフにより大切にお世話されています。

保護犬たちは、おもに関東の動物愛護センターや多頭飼育崩壊現場、悪徳ブリーダー、個人の飼育放棄などからレスキューされた犬たち。その多くは、劣悪な環境にいたことで健康面や精神面に問題を抱えています。コクアでは、こうした保護犬たちを時間をかけて丁寧にケアして、幸せな家庭へと譲渡する活動を15年間続けています。幸せにつなげた卒業犬たちは今までに500頭以上になります。
NPO法人ティアハイム コクア代表・山田直美さん。2008年から動物愛護活動を開始。ハワイアン ロミロミのセラピスト・インストラクターとしてサロン、スクールも主宰。写真は愛犬のモチコちゃん(14才)
NPO法人ティアハイム コクア代表・山田直美さん。2008年から動物愛護活動を開始。ハワイアン ロミロミのセラピスト・インストラクターとしてサロン、スクールも主宰。写真は愛犬のモチコちゃん(14才)
「コクアでは、人を噛んでしまう犬、極端なビビリで散歩にも行けない犬たちも積極的に引き取っています。こうした犬たちは、動物愛護センターの職員さんでも扱うのが難しく、引き取り手もないことから、最後は殺処分の対象になってしまうことが多いんです。犬たちが噛むなどの問題行動を起こすのは、人による虐待や飼育放棄が原因であることがほとんど」と語るコクアの代表の山田直美さん。人間不信になり噛むなどの問題行動を起こす犬たちには、とにかく時間をかけて本気の愛情をかけていくことが大切とのこと。
「こうした犬たちには基本的なしつけを行う以前に、いかに365日欠かさずに心を込めたお世話ができるかが重要。犬は本気の愛情かどうかはすぐにわかります。そしてどんなに時間がかかっても心を開いてくれる瞬間がくるんです」

ハワイから帰国後、シェルターの立ち上げを決意

山田さんは現在、ハワイアンロミロミのセラピスト・インストラクターとしてサロン、スクールを主宰しながら、コクアのシェルターを運営しています。1990年代にロミロミの技術を学ぶためにハワイに渡ったとき、山田さんは「ハワイアンヒューマンソサエティ」という動物保護施設と出会いました。
「私は幼少のころから動物が大好きで、ハワイでも動物保護施設でボランティアを経験しました。ここでは、国や性別、年齢もさまざまな人たちが犬や猫などの動物たちを救う活動をしていました」
 そして帰国後山田さんは、日本にもハワイのような動物愛護施設があれば……と思うように。
「帰国後、何年かたってボランティアを始めました。でも当時、ボランティアの方々の自宅預かりでの負担や、殺処分される犬猫の数を考えると個人では限界があると感じ、シェルターの必要性を感じたんです」
虐待の早期発見、防止などを目的にした「わんにゃんパトロール隊」も実地。地域の防犯にもなっています
虐待の早期発見、防止などを目的にした「わんにゃんパトロール隊」も実地。地域の防犯にもなっています
最初は小さなシェルターから始まり、年々規模を少しずつ広げ、シェルターの場所も何度か移転させ、現在の場所にシェルターを2棟構えることに。
「最終的にこの地を選んだのは、私が表参道でハワイアンロミロミのサロン・スクールを経営していたから。仕事とシェルターの運営の両立は大変ですが、職場がシェルターから近ければ何かあったときに駆けつけられるし、毎日保護犬のお世話もできます」と山田さん。
撮影/田尻光久
撮影/田尻光久
次回は、シェルターに保護された犬たちをレポートします。
出典/「いぬのきもち」2023年4月号『犬のために何ができるのだろうか』
写真/田尻光久
写真提供/ティアハイム コクア
取材・文/袴 もな
※保護犬の情報は2023年2月7日現在のものです。
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