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いざ決行! 犬と車中泊の旅(四国・九州編)【穴澤賢の犬のはなし】

先代犬の「富士丸」と犬との暮らしと別れを経験したライターの穴澤賢が、
数年を経て現在は「大吉」と「福助」(どちらもミックス)との暮らしで
感じた何気ないことを語ります。

ここ数年、毎年のように『今年の目標』は大福と四国・九州へ旅行することだと書いてきたが、毎回達成できていなかった。そんなこんなで今年も後半になっている。

大福が元気なうちに叶えたい四国・九州の旅

四国・九州となると最低でも1週間ほどかかるが、なんだかんだとやることがあり、そんなにまとまった休みはとれない。けれど、そんなこと言っていたらいつまで経っても行けない。
そうこうしているうちに、大吉は14才、福助は11才になった。なんとしても、彼らが元気に走れるうちに旅行しておきたい。そこでもう、休みをとってのんびり旅行するのは諦めた。事前になるべく終わらせておくが、何かあっても対応できるようにノートパソコンを持参し、毎日メールチェックしながら旅を強行することにした。
旅は車中泊と決めていた。犬OKの宿を探さなくていいし、その方が自由に動けるからだ。ある程度決めたコースを進みながら、サービスエリアや道の駅で休めばいい。
ただ、わが家の車では車中泊は狭いので、犬OKのキャンピングカーレンタル店『FOLK』で、ワンボックスタイプを借りることにした。これも9月頃に日程を決めて予約して、よほどのことがない限り旅に出るよう自分たちを追い込んだ。
今回の旅の目的は主に3つ。まず、大福が思い切り楽しむこと。次に、宮崎県に移住した料理上手な友人夫妻宅を訪ね、海釣りして魚を調理してもらうこと(八ヶ岳に移住して魚に飢えているから)。
その帰りに香川県に寄り、本場のさぬきうどんを食べること。これ以外は流動的で、その都度考えるというゆるい旅。

旅に困難はつきもの!?

そのつもりだったが、いざ出発してみると、いきなり大渋滞に巻き込まれるわ、予定していたところまでたどり着けないわで、予定が狂いまくった。
が、車中泊なので問題ない。今日はここまで、というところで寝ればいい。決して無理はしない。パーキングのレストランで夕食を手早く済ませ、大福とまったり過ごす。
10日に出発し、中国地方を休みながら進み、九州入りしてからは阿蘇山とか温泉とか巡りつつ13日の夕方には宮崎県日南市の友人宅に到着。
翌日の午前中は、友人に大福を見ていてもらい、私と妻は事前に調べて予約しておいたチャーター船で釣りをした。
釣りについて熱く語るのは割愛するが、この日はうねりが残っていたため沖には出られず、湾内の水深20〜30メートルでジグ(魚釣りに用いるルアーの1種)を落とすくらいしかできなかった。
沖に出てもう少し深い根回りを探れたら、クエ(宮崎ではアラ)が釣れていたかもしれないのに、あぁ残念。
2時間ほど釣りをして、アカハタ、オオモンハタあたりをゲットした(私が釣ったのは小さいアカハタで少し大きなオオモンハタを2匹を釣ったのは妻)。
そして大福と海辺を散歩して、夜、魚が食卓に並んだ。なぜか釣り上げた以外にも魚種が増えており、刺し身、塩焼き、煮付け、アジフライ、アラ汁とフルコースが出てきた。素晴らしい。持つべきものは料理上手な友人だ。
車中泊がそれほど窮屈なわけではなかったが、やはり旅の途中、友人宅で布団で眠れたのはよかった。
ちなみに友人は、大堂津海水浴場の目の前で『PIGGY’S nichinan』という古民家一軒貸しの民泊をやっているので、日南市に行くことがあれば利用してみてね(料理は付いていないので注意)。
翌朝、宮崎を出発し、大分まで移動し、そこからフェリーで愛媛へ。四国入りして、少し進んだところで車中泊。
翌日は、香川県に入り、うどんを食べたり、讃岐まんのう公園という恐ろしく広い公園でのんびり散歩してから北上。途中で一泊して、17日に八ヶ岳に到着。
駆け足でざっと書いたが、途中で公園を見つけては立ち寄ったり、ウンチングポイントを探してさまよったり、前半は飛ばし気味だったが、後半は反省してほどよく休憩しながら移動して、無事に帰宅した。
旅を終えて、最高の1週間だったと思った。強行してよかった。車の中で、大福はずっと顔を輝かせて景色を眺めているか、寝落ちしているかどっちかで、立ち寄るポイントではどこもとても嬉しそうにしていた。そんな姿を目に焼き付けることができた。
この前』書いたように、犬は経験したことしか知らない。だから初めての場所を訪れると、そこは彼らの知らない世界なのだ。
今回は、たくさん知らない景色を見せられたかな。タイトルに四国・九州編と書いたのは、早くもまた違うところへ大福と旅したいと思っているからだ。来年は、またどこかへ行こうな。



プロフィール
穴澤 賢(あなざわ まさる)
1971年大阪生まれ。2005年、愛犬との日常をつづったブログ「富士丸な日々」が話題となり、その後エッセイやコラムを執筆するようになる。著書に『ひとりと一匹』(小学館文庫)、自ら選曲したコンピレーションアルバムとエッセイをまとめたCDブック『Another Side Of Music』(ワーナーミュージック・ジャパン)、愛犬の死から一年後の心境を語った『またね、富士丸。』(世界文化社)、本連載をまとめた『また、犬と暮らして』(世界文化社)などがある。2015年、長年犬と暮らした経験から「DeLoreans」というブランドを立ち上げる。

ブログ「Another Days」
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大吉(2011年8月17日生まれ・オス)
茨城県で放し飼いの白い犬(父)とある家庭の茶色い犬(母)の間に生まれる。飼い主募集サイトを経て穴澤家へ。敬語を話す小学生のように妙に大人びた性格。雷と花火と暴走族が苦手。せっかく海の近くに引っ越したのに、海も砂浜もそんなに好きではないもよう。

福助(2014年1月11日生まれ・オス)
千葉県の施設から保護団体を経て穴澤家へ。捕獲されたときのトラウマから当初は人間を怖がり逃げまどっていたが、約2カ月ほどでただの破壊王へ。ついでにデブになる。運動神経はかなりいいので、家では「動けるデブ」と呼ばれている。
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