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シロさん、突然の失明【連載】おばあちゃん犬がやってきた 第24回
我が家は新しい家族として15歳の老犬、シロさんを迎えました。
シロさんが我が家にきて1年半が経ち、穏やかな日々が流れているのを感じていました。
しかし、それは突然の出来事でした。
朝いつも通り起きると、片目が白く濁り、涙の量も明らかに多い。
そして、朝はテンションの高いシロさんがやけに大人しい。
これは只事ではないと思い、急いで動物病院へ。
診断結果は「急性緑内障」。
元々あった白内障からきているもののようで、片目はもうほとんど視力がない……と。
先生と相談しながら、緩和治療へ。もう片方の目にも予防のためのケアを始めました。
これからたくさんのものを見せてあげたかった私は、必死の思いでケアを続けましたが、
その1か月後……
必死のケアも虚しく
「ショック」というより、「?」でした。
というのも、シロさん、普段通りに生活を送っていたからです。
障害物に軽くぶつかることは以前からあり、寝てばかりのぐーたらな生活もいつも通り。
私自身が「見えていない」という現実にすぐには向き合えずにいました。
「もっと早くに気づくことはできなかったんだろうか」「もっと他にできることはないのか」
全てのことを受け止めるつもりでいたのに、私自身が乱れてしまいました。
現実に向き合いきれない私
私は何だか落ち着かずシロをずっと見つめていました。
すると、シロさんはゆっくりと私の方へ歩いてきたかと思えば・・・
ゆっくりと私の膝に乗りかかるシロさん
視力を失っても、シロはこんなにも頑張っているじゃないか。
私が弱気になっている場合じゃない!と再認識したとき・・・
感動的な展開と思いきや
隣においていたパンを盗んでいったシロさん…
その姿は視力を失った哀れな犬ではなく、これからの犬生を明るく生きようとする可愛い可愛いおばあちゃん犬だったのです。
視力を失ってもまだ微かに感じられる光、そして嗅覚、そして1年半暮らしてきた我が家の構造の認識・・・シロにはまだたくさん残っているじゃないか。
落ち込んでいる場合ではなかったのです。
楽しそうにパンを盗んでいった、愛らしい泥棒さん。
自分がこんな時でも私達家族を和ませてくれました。
これからのシロとの犬生の楽しみ方について、私達家族は会議するのでした。
目に見えるものだけに頼らない、それがいい女よ
ほんとはダメよ、ってママが言ってたけど嬉しそうな声だったから、
また何かママから盗んであげようと思うの。
登場人物・登場犬猫
tamtam プロフィール
2022年「たまさんちのホゴイヌ」(世界文化社)、2023年「たまさんちのホゴネコ」(世界文化社)を出版。著者印税を動物福祉活動に充てている。
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