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犬の世界の「ステイホーム」と「ソーシャルディスタンス」|連載・西川文二の「犬ってホントは」vol.29
今回は、犬における「ステイホーム」と「ソーシャルディスタンス」について。実はソーシャルディスタンスが、しつけにも活かせます! その目からウロコな発想は、どんなやり方でしょうか(編集部)
一方、にっくき新型コロナの方は、本当にやっかい。
ところで「ステイホーム」。不要不急でなければ、外出を控えるということですが、ちょっと気になることが。
それは子犬の社会化に関して、です。
どこにでも連れて行くことができ、楽しい時間を共有できる。そうしたコンパニオンドッグに育てるには、子犬の社会化は期間限定で必要なことだからです。
子犬の1カ月間は人間の子どもの2〜3年間に相当
私が換算する場合は
2カ月齢の子犬は人間の子どもの年齢に換算すると、離乳期を終えた2〜3歳に当たります。
3カ月齢の子犬は、人間の子どもなら5〜6歳、4カ月齢の子犬はすでに8歳。
外出の自粛要請は、すでに1カ月以上続いています。それに従い子犬を外に出さず、さらにこれからそれを1カ月間続ければ、生後2カ月齢で迎え入れた子犬は4カ月齢に成長してしまいます。
その間家から出さなければどうなるか?
それは人間でいえば、幼児を小学3年生になるまで家から出さないのと同じようなこと。
どこでも楽しい時間を共有できるコンパニオンドッグに育てるには、もはや難しくなってしまうのです。
将来遭遇するであろう事や物に慣らす
不慣れな何かに遭遇するたびに不安を覚え、楽しい時間を共有するどころではありません。
とくに「犬」「人間」「場所」「物体」「足場」「ケア」「音」などには、飼い始めの時期から積極的に慣らす必要があります。
「場所」「物体」は、「同じ場所」でも人がいるのといないのとでは、
「同じ物体」でも人がらみとそうでないもの(たとえばスケートボード単独と、人が乗っているスケートボードは別物)とでは、別物。それぞれに慣らす必要があります。
「犬」「人間」「人がらみの場所」「人がらみの物体」は、どうしても人を避けての社会化はできません。
であれば、ソーシャルディスタンスを意識しての慣らしを行うこととなります。
ソーシャルディスタンスを意識しての慣らし
たとえば、人が乗ったスケートボードがそばを通ったときにフードを提供する。その対象がそばを通るといいことが起きる、結果その対象がそばを通ることに慣れていく。もし、フードが食べられなければ、フードが食べられる距離まで離れ、そこでいいことを提供し、時間をかけてその距離を詰めていく。
以上をさまざまな対象に対して行い、1mの距離をへっちゃらにしていく。これが社会化の流れとなる。
ただソーシャルディスタンスを守るようアナウンスされている期間であれば、1mの距離に慣らすのは見合わせる。当面は2mの距離までの慣らしで構いません。
え? 獣医さんからワクチン3回済むまではお散歩NGと言われているけど……ですか?
お散歩はNGでも、抱いて外に慣らすこと、清潔なところは降ろして外に慣らすこと、は積極的に行うべきです。
「お散歩NG」イコール「ステイホーム」ではないということ。
その点、くれぐれも誤解なきように。
写真/Can ! Do ! Pet Dog School提供
https://cando4115.com/index.html
西川文二氏 プロフィール
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