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犬のしつけに本当に詳しい人は「〇〇」を知っている|連載・西川文二の「犬ってホントは」vol.34
今回は、犬に体罰めいたしつけを行うことに対して、国がどのような基準を示しているか、とうお話。前回(vol.33)で、犬に詳しい人が、犬のしつけに関して本当に正しい知識を持っているかを確かめる魔法のワードがあるとお伝えしました。そのワードも出てきますよ(編集部)
2013年から認定医制度を設けた日本獣医動物行動研究会のサイト(http://vbm.jp/)にアクセスすると、<犬猫を中心とした伴侶動物の問題行動を治療する「行動診療」を発展させる、問題行動の治療に関しての啓発活動を行うことを目的に発足した>、といった趣旨のことが記されています。
前回触れた、仰向けに抑えつけるなどの体罰。
この体罰に関しての、犬や猫の問題行動の診断/治療の専門家たちの考え方も、同サイトで確認できます。
体罰に対する声明
そこには、<日本獣医動物行動研究会は、飼い主、トレーナー、獣医師など動物にかかわる人が、家庭動物のしつけや行動修正のために「体罰」を用いること、またこれを推奨する行為に反対します>
とはっきりと記されています。
さらに<体罰に依ることなく科学的な根拠に基づき・・・>
ということも記されています。
加えて、そこには7つの資料が紹介されています。
声明文、資料ともども、くわしくはサイトにてご確認いただければと思うのですが、ぜひともこの場で紹介したい内容があるので、以下それらを。
資料5、6には以下のことが
中に、こう記されています。「問題行動に対して、叩く、マズルを強くつかむ、仰向けにひっくり返して抑えつける、首をもって振るなどの体罰を行っている場合は、すぐにこれを中止します」と。
資料6のタイトルは「家庭動物の問題行動について相談された獣医師には次のことを推奨します」。
そこには、「一定の基準を満たしていると考えられるトレーナーとしては、動物行動学や行動分析学を大学などで学んだトレーナー、日本動物病院協会認定家庭犬しつけインストラクター、CPDT-KA(Certified Professional Dog Trainer –Knowledge Assessed)の有資格者などが挙げられます」と書かれています。
前回触れた魔法の言葉とは
それは、「消去バースト」。
「動物行動学や行動分析学を大学などで学んだ」かどうかがわかる、というか少なくともそのワードを知らなければ、動物行動学や行動分析学を学んだことがないとわかるワードです。
すでに当コラムで紹介しているように、動物は結果的にいいことが起きた行動を習慣化していく。いいことが起きることで習慣化した行動は、いいことが起きなければやがてとらなくなっていく。
このいいことが起きていた行動に対して、いいことを起こさないようにして行動の頻度を減らしてくプロセスを、「消去」といます。
しかしこの消去、行動が減っていく過程において一時的に行動が増えてしまう場合があることがわかっていて、一時的に行動がひどくなるこの現象を、「消去バースト」と呼ぶのです。
すなわち、アドバイスを乞う人に対して(聞いてもいないのにアドバイスしてくる人対しても同様)、「消去バーストって何ですか?」って、聞けばよろしい。よく知らないようであれば、その人の話には「耳を傾ける必要なし!」ということになるわけです。
写真/Can ! Do ! Pet Dog School提供
https://cando4115.com/index.html
西川文二氏 プロフィール
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