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犬におやつを与えると、しつけがうまくいかなくなる!?|連載・西川文二の「犬ってホントは」vol.35
今回は、犬のおやつに関するお話。おやつを与えていると、しつけのトレーニングがうまくいかなくなることがあるようです。そんなとき、どうすればいいのでしょうか?(編集部)
私はスクールでそう指導しています。もちろん、スクールの立ち上げ時は、おやつを多用していました。
今では当たり前のように報酬を与えるトレーニング手法。これは1990年代にコンパニオン・ドッグのためのトレーニングといっしょに、海外から輸入された手法です。
当時はおやつを「モチベーター」と称していました。トレーニングはモチベーター選びがまず大切。
アメリカ人のテリー先生からはそう教わったのですが、今ではおやつは必要ないと私は指導している。
なぜなのか。その理由を今回は説明いたしましょう。
トレーニングをすればするほど、おやつをあげることに
実は、テリー先生からはおやつは1日に必要な摂取カロリー計算で10%以内に。もし、おやつを10%与えるのなら、主食のドライフードの量を10%減らすように、指導されました。
しかし、おやつのカロリーなどそうは計算しないもの。たとえ計算したとしても、日本の犬たちの場合、それではたいしたトレーニングができない。
飼っている犬のサイズが違うのです。
プードルと聞いて、日本人がイメージするのは、2〜3kg程度のサイズでしょう。しかしアメリカ人がイメージするのは、25kg前後のプードルです。
1回の報酬のおやつの量は、大型犬でも小型犬でもそう違いはありません。
10回ほめたときの報酬としてのおやつの量は、小型犬も大型犬もそうはかわらないということです。
主食の10%はアメリカの犬のトレーニングには十分な量でも、小型犬が主の日本の犬たちには、とても足りない。
結果、おやつを与えすぎることになるのです。
ドライフードをどんどん食べなくなる
飼い主は、おいしいものをトッピングするなどして、どうにかしてドライフードを食べさせようとする。
すると、目の前に出されたドライフードを口にしないと、もっとおいしいものが出てくることを知り、犬はどんどんドライフードを口にしなくなる。
そればかりか、目の前に出されたおやつも口にしなければ、これまた飼い主はもっとおいしいおやつを探してくる。飼い主は、次々とおいしそうなおやつを探すはめに。
プロとしてクラスを始めると、クラスに参加する何割かの小型犬たちが、その悪循環に陥っていったのです。
おやつをやめるとドライフードを口にするように
単におやつをあげないというだけではなく、「ドライフードはすべて、トレーニングを通じて」ということも、徹してもらいました。
これはイコール、犬は「トレーニングをしないと一切のフードが口にできなくなる」ということを意味します。
するとどうでしょう、先の悪循環に陥っていた犬が、普通のドライフードで意欲的にトレーニングをするようになっていったのです。
考えてみれば、「おやつは一切あげないように」、「主食のドライフードはすべて、トレーニングを通じて」ということを、トレーニングのスタート時から行えば、おやつを選り好みして思い通りのトレーニングができなくなるといったことも起きない。
ということで、2003〜2004年頃から「おやつは一切あげない」よう指導するようになったのです。
実際、現在のパートナードッグ、ダップと鉄三郎もそのように育てました。
ダップは15才、鉄三郎は11才。
両者とも、いまだに報酬のドライフードに、目を輝かせてくれますよ。
写真/Can ! Do ! Pet Dog School提供
https://cando4115.com/index.html
西川文二氏 プロフィール
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