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「か・ち・も・な・い」って?|連載・西川文二の「犬ってホントは」vol.39
今回は、ネットに出回る犬のしつけの情報が、本当に正しいかどうかの見極めに関するお話。そのキーワードは「か・ち・も・な・い」です。犬以外の情報の見極めにも役立つ方法ですよ(編集部)
最近はYouTubeなんてものヒットして、いやぁ、その数たるやもはやとんでもない量(まぁ、このコラムもそのひとつなのですけどね)。
困ったことにサイトによって、書かれていることが180度違ったりもする。
ネットの情報が玉石混交なのは、なにも犬の話に限ったことではありません。
ご存じでしょうか、健康・医学情報の真偽の見極めるための知恵、ヘルスリテラシーを研究する聖路加国際大学の中山和弘教授らが提唱している「か・ち・も・な・い」を。
これ、健康や医学に関する情報のみならず、あらゆるネット情報の真偽を見極めるのに役立つ。
え? ご存じ?
そ、そ、そうですか……
でも、知らない人もいるかと思うので……
「か・ち・も・な・い」とは?
「か」……書いた人は誰か
「ち」……違う情報と比べたか
「も」……元ネタは何か
「な」……何のために書かれているか
「い」……いつの情報か
「か」は少なくとも信頼できる肩書とともに実名で記されているか?
とくに飼い主が困っている犬の行動(いわば問題行動)であれば、当コラムVol.34でも触れた、動物行動学や行動分析学を大学などで学んだトレーナー、日本動物病院協会認定家庭犬しつけインストラクター、CPDT-KAの有資格者などが書いているかどうかです。
たとえ獣医師やトレーナーという肩書きでも、動物行動学や行動分析学を大学などで学んだか、上記資格を有しているか、をチェックすることが重要といえるのです。
そもそも実名表示のない電子掲示板
答える誰かは、ハンドルネームを用います。先の「か(書いた人は誰か)」がそもそも担保できていませんので、その情報を鵜呑みにすべきではありません。
もっとも、その意見を述べるにあたっての根拠が示されていれば、すなわち「も(元ネタは何か)」が記されているのであれば、「ち(違う情報と比べる)」を行う価値はあるかもしれません。
意見を述べるにあたっての根拠が、個人的な体験談の場合もあります。「も」は本人の体験にあるわけですが、「か」が担保されていない分、「ち」を十分に行う必要があるでしょう。
過去の情報が最新の情報のごとく語られていることも
2000年代半ばから完全否定されている90年代に広まった定説「人間の言うことを聞かないのは、犬が人間よりも偉いと思っているから」なんていうのがこの「い」に当たります。
いつの情報かは、「ち」および「も」をチェックするとわかります。
犬に限らず動物の行動はわかっていないことだらけです。新しい研究報告でそれまでの定説がひっくり返ったりする(この話も過去コラムVol.2でしております)。
当コラムも同じ。
「科学的」とは、実験(客観的データ)などによって反証可能な普遍的な命題をまず仮説として立てて、それに対する反証が出てこない限り、暫定的にそれが真理であるとみなす。
すなわち科学的な真理はつねに刷新される可能性がある、ということなのです。
以上、その情報が信じるに値するかは「か・ち・も・な・い」をチェックするとよろしいという、「か・ち・の・あ・る」お話でした。
写真/Can ! Do ! Pet Dog School提供
https://cando4115.com/index.html
西川文二氏 プロフィール
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