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犬のしつけを始める、最も効果的なタイミング|連載・西川文二の「犬ってホントは」vol.64
「犬のしつけはいつから始めたらいいの?」と聞かれたら、自信を持ってすぐに答えられますか? 飼い始めてすぐ? 幼すぎると覚えないから5~6カ月経ってから? 今回は西川先生が、しつけ開始のタイミングについて解説。なぜそのタイミングがいいのか、人の成長と比較してわかりやすくお伝えします(編集部)
求めている犬の姿が家庭犬(=コンパニオン・ドッグ)ということを確認し、家庭犬に育てていくためには何を教えていくか、どう教えていくか、やってはいけないことは何かを、まず頭で理解していただきます。
最近は皆無になりましたが、数年前まではごくまれに、パピークラスへの予約をしたあとに参加を見合わせたいと申し出る方がいました。
その理由はワクチン接種のために獣医師のところに行ったときに、そんなところに行くのはまだ早い、もっと大きくなってから行きなさい。
なかには、1才までトレーニングなんてしちゃダメ、と言われた飼い主もいました。
こうした獣医師たちは訓練としつけの違いを理解していないのです。
訓練は第二次成長期以降行うもの
その頃、警察犬訓練所が預かるのは、生後6カ月以降の犬が当たり前でした。なぜかというと、そこでなされるのは警察犬にするための訓練、いわば職業訓練だからです。
職業訓練は人間の場合なら、義務教育が終了してから、年齢でいえば第二次成長期を迎えて以降の15〜16歳。
コレ、犬なら生後6〜8カ月に当たる。
昔ながらの訓練なら、もっと大きくなってからでいいという獣医師の発言も別段間違ってはいないわけです。
でも、しつけと訓練は違います。
人間の場合、職業訓練は15〜16歳からですが、しつけは幼いときから行うもの。犬も同様、幼いときから行うものなのです。
犬の生後2カ月は人間の2〜3歳相当
犬のしつけも同様です。
犬、飼い主家族、社会のそれぞれが、快適に、安全に、ストレスなく過ごせるよう、犬に好ましい行動を教える、それが犬に対するしつけ、です。
人間のしつけは、物心つく2〜3歳頃から始まります。
人間の2〜3歳に相当するのは、犬の場合生後2カ月齢。であれば、しつけは生後2カ月齢から始まってしかるべき、ということになります(ただ日本の場合は感染症予防の観点から、スクールに参加できるのは2回目の混合ワクチンを済ませてからにならざるを得ませんが……)。
また忘れてはならないのは、「求めている姿によって、教える内容、教え方も変化するのがしつけ」、ということです。
かつて警察犬訓練所に預けられる犬以外の犬に、求められていた姿は番犬です。
一方、現在の犬に求められている姿は家庭犬です。
おのずと、教える内容、教え方も異なるということです。
家庭犬に育てるためには社会化が重要。ゆえに…
「オスワリ・マテ」や「フセ・マテ」ができることは必要ですが、そうした行動・動作が特定の状況でできても、社会化ができていないとクリアできない項目がほとんどです。
例えば、「他人が近くで飼い主とあいさつ、その間犬はオスワリ」という項目、「オスワリ・マテ」ができることはもちろんですが、他人に慣れてないとクリアできません。
他犬とのすれ違いもしかり。キャスターつきの旅行カバンが背後を通過しても過剰な反応をしない、もしかり。
社会化は生後4カ月齢までに十分に行っていても、のちのちもっとやっておけばと後悔したりするのが常。
社会化もしつけの一環とすれば、しつけのトレーニングは、飼い始めの時期から始まるということなのです。
「しつけと訓練」は違います。しつけは飼い始めのその日から始めるものです。
そして、混合ワクチン2回目接種後2週間経ったら、しつけ教室に参加されることです。十分な社会化のためには、グループレッスンに参加されることが不可欠ですから。
写真/Can!Do!PetDogSchool提供
https://cando4115.com/index.html
西川文二氏 プロフィール
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