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ほかの犬と遊べないのは、問題?|連載・西川文二の「犬ってホントは」vol.82
今回は、犬同士の遊びに関するお話。西川先生によると、愛犬がほかの犬と遊ばないことを、気にする飼い主さんが多いそう。遊べないのは本当に問題なのでしょうか? 西川先生が解説します(編集部)。
これ、よくあるお悩み相談。
「最近他の犬とあまり遊ばなくなってきて、どこかおかしいのでしょうか」
これもよく相談される内容です。
犬は我が子のようなもの。
我が子が、よその子と遊ぼうとしない。友達がいない、友達ができない。
確かに人間の子どもであれば、心配にもなります。
でも犬の場合はいかがなものか。
さてこれらの問題、改善すべき問題かどうか。
前回のお話と照らし合わせて見ていきましょう。
3つの視点から考える
まず②「犬にとってどうか」
人間の場合は、社会的に独り立ちして生きていく必要がありますから、他者とのコミュニケーションが苦手だと心配になります。しかし、犬は独り立ちして生きていくわけではありません。
幸せホルモンと称されるオキシトシンは、飼い主によく視線を向ける犬の中で増える。その事実からすれば、犬は他犬と遊ばなくとも、飼い主によく視線を向けるようであれば、それで幸せということになります。
次に③「世の中にとってどうか」。
これも、他犬が苦手で吠えついたり噛みついたりすれば問題ですが、相手に対してそうした行動を示さないのであれば、なんら問題となりません。
残されるのは①「飼い主にとってどうか」という点です。
犬のことを理解できれば、問題ではなくなる
前者は飼い始めから今まで、他犬とのコミュニケーションが苦手ということ。後者は、かつては遊んでいたが成長に伴い遊ばなくなった、ということ。
それぞれ原因は異なる。
犬同士のコミュニケーションが上手な犬に育てるには、8週齢まで親兄弟と一緒にいて、その後新しい飼い主のもとで親兄弟以外の犬と触れ合わせる。
だからペット先進国と言われるヨーロッパの国々では、8週齢までは親兄弟から引き離すことを禁じており、他犬との触れ合いの場であるパピーパーティへの参加を、飼い始めの時期から行うわけです。
残念ながら日本では、そうした犬への社会化ができません。
日本の流通の問題なので、飼い主の努力でどうにかなるというものでもありません。ではどうすればいいのか?
飼い主が考えを変えることです。
「他犬と遊べなくても、飼い主によく視線を向けるのであれば、問題はない」という具合にです。
いつまでも子どものようには遊ばない
人間の場合、10才前後までは初めて会った相手でもすぐに打ち解けて遊びます。しかし、成長するにつれそうした行動は減っていきます。
犬は我が子のようなものと言いましたが、残念ながらいつまでも幼い子どもというわけではありません。
犬は1才で、人間でいえば17才、2才で24才、3才で28才。
例えば3才を迎えた犬に、子犬のように他犬と走り回って遊ぶ姿を期待するのは、30才を迎えようとしている大の大人に子どものときのように友達と遊ぶ姿を期待するようなものです。
子どものときのように遊ばなくともなんら問題ではないということ。大人になったということなのです。
えっ? 以前のコラムではいつまでも子どもっぽいような話をしてたじゃないかって?
鋭いご指摘。まぁ、精神的には大人。子どもっぽい仕草を多く残すけど、犬同士の遊びに関しては卒業していく犬が多い、っていう話。
私など、ときどきいまだに「子どもじゃないんだから」って言われます。犬みたいなもんですかね。もっとも容姿も仕草もまったくもって、かわいくはないですけどね。
えっ? えっ? 「子どもじゃないんだから」って、呆れられてるってこと?
写真/Can ! Do ! Pet Dog School提供
https://cando4115.com/index.html
西川文二氏 プロフィール
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