ぷにぷにとした独特の感触で、飼い主さんの心をくすぐる、愛犬の肉球。もちろんかわいいだけではなく、そこには重要な役割があるのです。
今回は、いつも見ていて意外と知らない、犬の肉球の仕組みとその役割について解説します。
肉球があることで、地面との接地面が最小限になる!
肉球とは、犬や猫など陸上で生活する食肉目の動物の足裏にある、毛のない部分のことです。犬の肉球の形状や構造は、その立ち方や歩き方に大きく関係します。
人は足の指とかかとを地面につけることで設置面積を広げ、安定して体を支える「蹠行性(しょこうせい)」という歩き方ですが、犬は「指行性(しこうせい)」と呼ばれる、人でいう“つま先立ち”の歩き方です。
さらにつま先にある肉球のおかげで、接地面がより少なくなり、足が効率よく地面を離れることで、早く走ることや機敏な動きを可能にしています。
肉球の皮膚は、角質層が変化したもの
犬の肉球は、筋肉と脂肪の中間のような皮膚組織で構成されています。ゴムのタイヤのような弾力があり、かたい地面に触れていても大丈夫な厚みとかたさが備わっているのだとか。
一般的に、四足の裏にある皮膚が裸出した部分をまとめて肉球と呼んでいますが、実際はいくつかのパーツに分かれ、それぞれに名称と役割があります。
肉球にはたくさんの役割や機能がある!
靴を履かない犬にとって、やわらかい肉球は靴底の代わりになります。人も底がかたい靴で歩くとすぐに足が疲れてしまいますが、スニーカーのようなやわらかな靴で歩くとなかなか疲れません。それと同じで、やわらかい肉球があるおかげで、犬派長い時間歩いたり走ったりすることができるのです。
ほかにも、芝生やアスファルトなど、どんな地面を歩いているのかを感じることができるなど、犬にとっての肉球はとても重要な役割をもつ部分となっています。
自分のニオイをつける役割
犬の肉球には汗腺があり、汗を出す働きがあります。歩きながら汗と一緒に出る自分のニオイをつけ、縄張りを主張するマーキングのような役割も。
運動を助ける役割
汗で肉球がわずかに湿っているため、急に止まったり、方向転換をするときのグリップ機能の役割も果たします。
肉球の表面にザラザラした起伏があるのも、滑り止めに適しているからです。
また、厚くて弾力のある肉球は、歩いたり走ったり、飛び降りたりするときの衝撃をやわらげ、足の骨や関節を守るという重要な役割もあります。
足を保護する役割
肉球は体をおおっている皮膚に比べ、かなり角質層が厚くてかたくなっています。そのため地面からの熱などを感じにくく、多少デコボコした地面でも平気で歩けるのです。
犬の肉球は、犬が健やかに暮らしていくためにも欠かせないパーツだということが分かりました。肉球は年齢や体格、犬種によってもこまかな特徴が異なるため、機会があったら、いろいろな犬の肉球を観察してみるのもいいかもしれませんね。
参考/「いぬのきもち」2021年2月号『ぷにぷにの形、役割、お手入れ方法など 意外と知らない 肉球の話』(監修:「石田よう子 犬と猫の歯科クリニック」院長 石田陽子先生、哺乳類学者 日本動物科学研究所所長 今泉忠明先生)
文/kagio
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。