震災時、何が愛犬と飼い主さんを救ったのか。「いぬのきもち」読者の体験談から、被災時に備えていてよかったものや助けになったことを、ペット防災のプロ、浜田あゆり先生のアドバイスとともにご紹介します。
北海道胆振東部地震を体験したY.Yさんの声
ガラスや食器が割れ、足元の安全を最優先しました
「緊急地震速報のアラームが鳴った直後に大きな揺れが長く続き、旦那が子ども部屋に駆けつけ、私が愛犬たちの無事を確認しました」
2頭の愛犬はそれぞれケージとクレートの中にいて比較的落ち着いており、2匹の猫たちはパニックになって2階の部屋の家具の隙間に入りこんでいたそう。割れた写真立てやグラスを愛犬たちが踏まないよう、足元の安全を第一に確認しました。
「停電していましたが、幸い充電式掃除機があったため、割れ物の片づけができました」
その後、太陽光で充電してあった蓄電器を使い、非常時に電源が入るキッチンまわりの電気をつけてさらに安全を確認したそう。
「引っ越して1年もたたないうちの震災でしたが、『大丈夫だった?』の声かけや食品のおすそ分けなど、ご近所の方たちのやさしさを感じられ、子どもたちも安心できたと思います」
愛犬とYさん家族を救ったモノとコト
●太陽光発電(蓄電池)
●充電式掃除機
安全を確保するために割れた食器やガラスをすぐに片づけられたので、停電時はコードレスの充電式掃除機が役立ちました。常に充電しておくようにしています。
●薪ストーブ
同じような大規模停電が起こっても暖をとることができるので、メインの暖房を薪ストーブにしておいてよかったです。
●ご近所づきあい
引っ越して1年たたないうちの地震でしたが、ご近所の方とふだんから仲よくさせてもらっていたことも安心材料になったと思います。
●キャンプ体験
キャンプ経験があったため、子どもたちも愛犬といっしょに「不自由を楽しむ」ことに慣れていたことが結果的によかったです。
【先生から】落下物対策をすると、さらに理想的に
愛犬たちの安全のために、すぐに割れ物を片づけたのはよい判断だったと思います。食器棚に滑り止めシートを敷いたり、棚の扉が開かないようにストッパーをつけたりするなどの落下物対策をしておくと、さらに安心できるでしょう。
いかがでしたか? 物理的な対策だけでなく、ご近所の方とのコミュニケーションも災害時には手助けになることを教えてくれました。日ごろから、愛犬がほかの人にストレスを感じないよう、できる範囲でトレーニングしておくことも役立ちそうですね。
お話を伺った先生/ペット防災せたがやネットワーク代表理事、防災士 浜田あゆり先生
参考/「いぬのきもち」2021年9月号『震災から愛犬と私を救ったモノとコト』
イラスト/Rica
写真提供/Y.Yさん
構成・文/佐藤英美