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【獣医師監修】犬の外耳炎ってどんな病気? かかりやすい犬は?症状や予防法まで
犬がかかる病気のなかでも、発症率が高いといわれる「外耳炎」。一説では、4頭に1頭がかかるとか。とくに湿気が多くなる季節はより注意が必要です。そんな外耳炎の症状や治療法、気になる予防法まで、じっくりご紹介します。
この記事の監修

荒木 陽一 先生
犬の外耳炎ってどんな病気?
耳の穴の鼓膜の外側にある外耳道に、細菌や真菌が感染することで炎症が起きます。犬の耳は、外耳道がL字形に曲がっているため構造上、汚れがたまりやすいといわれます。アレルギー性皮膚炎やアトピーなどと併発して起こるケースもあります。そのほか、腫瘍や異物によって外耳道が狭まることが原因でかかる場合も。

外耳炎は、どんな犬がかかりやすいの?
外耳炎は、どんな犬もかかる可能性がありますが、とくにかかりやすいのは、以下に挙げるタイプです。
・耳が垂れている犬
たとえばビーグル、ミニチュア・ダックスフンド、アメリカン・コッカ―・スパニエルなどの垂れ耳の犬は、立ち耳に比べて通気が悪く蒸れやすいため、細菌が繁殖しやすく、外耳炎にかかりやすい傾向があります。
・耳の中の毛が多い犬
たとえばミニチュア・シュナウザー、トイ・プードル、ヨークシャー・テリアなど、耳の中に毛が密集している犬は、通気が悪くなり、耳垢もたまりやすい環境になりがちです。
・アレルギー体質の犬
たとえば柴、ゴールデン・レトリーバー、シー・ズーなど、アレルギー性疾患になりやすいこれらの犬種は、細菌が繁殖しやすくなり、外耳炎にもかかりやすくなる傾向があります。
・皮脂が多い犬
たとえばシー・ズー、フレンチ・ブルドッグ、パグなどの皮脂がべたつく、体臭がきつめの犬は皮脂の分泌が多めです。皮脂を栄養源とする真菌が増え、外耳炎にかかりやすくなります。
犬の外耳炎の症状は?
犬が外耳炎になると、耳が赤く腫れたり、外耳道に黒や黄色っぽい耳アカがつきやすくなります。同時に犬のしぐさにも変化があらわれます。耳の状態と犬のしぐさで、以下にチェックがついたら、外耳炎を疑ってみてください。
耳の状態をチェックしよう
愛犬の耳の中を見る、ニオイをかぐ、コットンで拭いて耳アカを確認して判断しましょう。ペンライトで照らせば、中の様子がはっきり見えます。
□耳介に赤みがある
□耳介が黒ずんでいる
□耳垂れがある
□いつもと違う不快なニオイがする
□耳を拭くと、黄色、黒色、茶色などの耳アカがコットンにつく

犬のしぐさをチェックしよう
一時的に耳をかくのは、ストレス発散の場合もあります。どのくらい頻繁にそのしぐさが見られるか、注意して見てみましょう。
□後ろ足で耳をしきりにかく
耳介や耳道がかゆくて、後ろ足でかきます。かくほど症状が悪化するので早めに受診しましょう。
□耳を床にこすりつける
強いかゆみや痛みによって、耳をこすることも。足でかくよりも慢性化している可能性があります。
□頭を頻繁にブルブル振る
何度も頭を振るしぐさは、外耳炎かもしれません。振るだけで耳をかかないなら、比較的軽度の症状です。

犬の外耳炎の治療法は?
犬の外耳炎の治療法は、耳の洗浄と適切な点耳薬の使用が効果的です。洗浄液は動物病院で処方してもらい、自宅でもまめにケアするようにしましょう。ただし、アレルギーによる炎症が原因で外耳炎にかかった場合は、外耳炎の治療と同時に、アレルギーの治療も必要です。獣医師と相談のうえ、食事や生活環境の見直しも行います。

犬の外耳炎を予防するための、ケア方法は?
犬の耳内環境を保つために、2週間~1カ月に1回の簡単拭くだけ耳そうじを行いましょう。使う道具は、コットンとイヤークリーナーです。犬が痛がらないよう、やさしく行ってください。
1 耳介の内側が見えるように、付け根から耳をめくる
犬をフセの姿勢にさせ、飼い主さんが背後から手を伸ばして行うと、犬も嫌がりにくいでしょう。
2 クリーナーをつけたコットンで耳の中の見える範囲を拭く
耳の奥は、指が無理なく届くところまでで充分。耳介は毛が生えていない地肌の部分を拭きます。
*耳アカなどであまり汚れていない健康な犬の耳なら、35~37℃くらいのぬるま湯につけたコットンで拭いても問題ありません。

まとめ
犬は、外耳炎にかかりやすいといわれます。外耳炎が悪化すると、聴覚障害を起こす恐れもありますから、定期的な耳そうじで予防したいですね。それでももし、異常が感じられたら早めの治療を行ってください。耳の中が不快だと、犬はストレスを感じるものです。耳そうじをすることで、汚れだけでなく愛犬のストレスも取り除いてあげましょう。
参考/「いぬのきもち」2014年5月号『犬の外耳炎まめなチェックとケアで防げます!』(監修:藤田桂一先生)
監修/荒木陽一先生(プリモ動物病院 練馬院長)
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