犬と暮らす
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アンチエイジングの「食」のこと、先生にお聞きしました!「 愛犬のすこやかアンチエイジング」
Vol.11 アンチエイジングの「食」のこと、高崎先生にお聞きしました!
「センパイ、今日は“食べること”について勉強に行きますよ! センパイもしっかり聞いていてね!」東京・高円寺の住宅街を機嫌よく歩いていたセンパイが「えっ…」と足を止め私を見ました。「もしやダイエットの話じゃないでしょうねぇ…」と思ったかどうかは知らないけれど、ひとりと1匹、気を引き締めて「たのも〜!」と高円寺アニマルクリニックの高崎一哉先生をお訪ねしました。
シニア用フードに切り替えるタイミングは?
センパイが子犬のころからフードを買いに行くたびその文字を見て「あぁ、○才になったらこれに替えるのがいいのかな〜」とうっすら思っていたのです。そして気がつけばセンパイも8才。7才になったときに「フード替えるべき?」と少し迷いましたが、今だに結論が出ないまま成犬用のフードをがっつり食べているセンパイなのでした。
なるほど「7才になったからすぐ切り替えなくてはいけない」というわけでもないんですね。
先生のお話は続きます。「犬も人間も個体差があります。若いのに動きが緩慢で妙に落ち着いた犬もいるし、10才を過ぎても若々しい犬もいる。だから客観的に見て“あれ、なんだか様子が変わってきたかな”とか“フードの食べ方がゆっくりになったかな”と思ったときに、チェンジしてみるのもいいかもしれません」
「犬にもよりますが、年齢を重ねると犬も食べ方がゆっくりになったり、食も多少細くなったりします。好みが変わることもありますね。人間もそうでしょう? 20歳の若者と70歳の老人では、食べるものの内容も量も違うし、食べる速度も違う。でも飼い主さんは、犬が加齢しても子どものような感覚でいるから、食べ残したりするとすごく心配します。そこでフードを替えてみたり、鶏のささみなど特別なおやつをあげたり工夫する。しかし、フードを食べ残すようなことがあっても体重が極端に落ちたりしなければ、そう心配しなくても大丈夫です。それはその犬の今の体調に合った量ということなんです。人間もおなかがいっぱいでも目新しい美味しそうなものを出されると、つい食べたりするでしょう? 犬ももちろん食べます。犬が食べると飼い主は安心して満足しますが、それが悪循環となり犬の肥満につながることもあります」
あぁ、伺っていて途中からドキドキしっぱなし。センパイ、私たちのこと言われてる。確実に私たちのことだよ! あぁ、ドキドキドキドキ……。
人に例えるとわかりやすい食のこと
「メーカーによるので千差万別ですが、ざっくり説明するとシニア犬は、成犬用よりは多少カロリーも抑えめで、衰えがちな筋肉や内臓に必要なタンパク質やアミノ酸に特化したバランスだったりします。そして老犬用になると、消化がしやすかったり、12〜13才でかかりやすい心臓病や肝臓障害などを意識した配合のものが多いですね。今は2才刻みくらいでフードが出ていますが、その年齢のころにかかりやすい病気を予防することを考えて開発されている、そう思っていただくのが一番わかりやすいかもしれません」
高崎先生は、よく「人間にたとえると……」という話し方で説明をしてくださいました。確かにそう考えると、今までの疑問や不安がスルスルと解決していきます。そうですよね、人間も同じ年齢の人が全員同じ健康状態なわけないし、それぞれがそれぞれの食生活をしている。そして、健康的な食生活の人が100%健康かというと、残念ながらそうでもなかったりするものですよね。
これからも犬について何か迷うことがあったら「人間だったらどうかな」と冷静に考えてみるといいかもしれません。何か答えを導くようなヒントがみつかるかも。
犬にも人間にも「食」は基本です。今回は「食」についてのお話を伺いましたが、「食」を通して犬の健康や暮らし全体についても考えさせられるような内容でした。
次回予告
次回は引き続き、高円寺アニマルクリニックの高崎一哉先生に、サプリメントのこと、住環境のこと、未病のためにやっておきたいことなどについて伺います。
住所:〒166-0003 東京都杉並区高円寺南2-14-14
http://www.koenji-ac.com/
取材•文:いしぐろゆきこ
プロフィール
いしぐろゆきこ:愛犬誌や女性誌、WEBなどで日々の暮らし、犬猫に関するエッセイやモノのリコメンドを執筆。近著に『豆柴センパイと捨て猫コウハイ』(幻冬舎)。
http://www.blueorange.co.jp/yuruyuru/
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